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風が吹いたら桶屋がもうかる  (ねこ2.8匹)

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井上夢人著。集英社文庫

牛丼屋でアルバイトをするシュンペイにはフリーターのヨーノスケと、パチプロ並の腕を持つイッカクという同居人がいる。ヨーノスケはまだ開発途上だが超能力者である。その噂を聞きつけ、なぜか美女たちが次々と事件解決の相談に訪れる。ミステリ小説ファンのイッカクの論理的な推理をしり目に、ヨーノスケの能力は、鮮やかにしかも意外な真相を導き出す。 (裏表紙引用)


「風が吹いたらほこりが舞って」→「目の見えぬ人ばかりふえたなら」→「あんま志願が数千人」→
「品切れ三味線増産体制」→「哀れな猫の大量虐殺」→「ふえたネズミは風呂桶かじり」→「とどのつまりは桶屋がもうかる」・・・という一見何の脈絡もない文章の論理がそれぞれの章のタイトルになった連作短編集です。
形式としては、超能力者ヨーノスケの力を借りたい美女がシュンペイを頼り、彼女らが彼らの住む小屋を訪ね、一角が推理を展開し、さらに後日実は事件は彼女達の取り越し苦労だった、そこでヨーノスケが能力をやっと発揮、シュンペイは失恋、一角は捨て台詞を吐き、というワンパターンばかりです。
それぞれのキャラクターは面白く、話運びも優れたものです。
が、一角の推理が飛躍しすぎているのと、このワンパターンが3つも読めばしんどくなるのが自分には辛かった^^;女性が一人で男三人の家に上がり込むのが不自然だったし(これは野暮か)。
最近の連作のように、すべてが繋がらない(常に前回の美女は今回の美女の紹介者でしかないし)んだなあ。シュンペイの決まり文句「彼女はいつも誰かの愛する人なのだ」も、そうでなかったら自分に可能性があるみたいなその主観、ちょっとわからない^^;

ところで、それぞれのタイトル含め、内容と「風が吹いたら~」とが何の関連もないように感じてしまったのですが。。(章ごとにこのタイトルがあったからこそ、一作品としての繋がりを期待した)
もしかして、それぞれの作品がこの文言を表しているとか?とは言えぴったり合っている、とは言えない気がしたのが残念でした。