すべてが猫になる

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流星の絆  (ねこ4.3匹)

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東野圭吾著。講談社

惨殺された両親の仇討ちを流星に誓いあった三兄妹。「兄貴、妹は本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れてるよ」14年後―彼らが仕掛けた復讐計画の最大の誤算は、妹の恋心だった。 (あらすじ引用)



うおお、これは久々の大当たり本でした!(ノ><)ノ☆
ドラマ化されたとは言えここまで面白いとは想像していなかったので最初は図書館で予約しようと思っていたのです。半年くらい待ってもいいかな、ぐらいの気持ちで。

予約数、2111件。。。。。。

なにが半年くらい待ってもいいかな、やねん^^;廻って来る頃には文庫とっくに出てるっちゅーねん^^;;ていうか毎月100円ずつ貯金したら買えるっつー話やねん^^;;(いや、しぶってたのは経済的な理由じゃないけどさ。。)

おっと、前置き長い。では感想を。ちょっと色々詳しい内容も語りたいので、全文ネタバレで進行いたします。本書未読の方は↓以下ご覧にならないで下さいね。












とにかくこの三兄弟が個性的でいいですね。主役のみならず脇役の刑事含め人物のキャラが立っているのは今さらのように褒めるところではないのですが(東野さんの場合)、切れ者の長男、芸達者の次男、美人で芯の通った末っ子の静奈、いずれも生き生きとしています。女性キャラが心配だったのですが、今回は価値観がブレる事なく、むしろ彼女に共感する点も多く引き込まれて読めました。
最初に彼らが詐欺師として生きている事を知った時は一瞬嫌悪感が湧いたのですが(この先に救いがないと思うから)、この設定あってこその不自然でない展開だったと思います。親殺しの犯人にこんなに偶然に出会えるわけないだろう、なんて思わずに済みますからね。普通に復讐のために素人調査をしている、という設定よりずっと面白味もあったはずです。

終始、読者としてはこの先の展開を予想出来、”彼らの行動が刑事達にどうバレるのか””戸神がどのように追い詰められて行くのか”気になってページをめくる手が止まりません。また、戸神の息子である行成
の人柄が良かったですね。彼なら静奈が惹かれるのもわかりますし、彼女の恋が叶えばいいのに、と願って読まずにはいられませんでした。彼女の恋が叶うか、犯人が捕まるか、物語的にどちらを優先しなければいけないかが分かるだけに、辛かったです。
戸神を詰問するシーンでも、行成の心の葛藤が彼の人柄をそのまま映し出していてやりきれなかったです。

しかし、と思いきや犯人は刑事だったのですから東野さんは意地悪ですね^^;実はこのどんでん返しを読んでいた時はがっかり感が強かったのですが(刑事=犯人、ってそろそろ使い古されている気がして)、静奈と行成まさかのハッピーエンドを読んだ後は気持ちが変わりました。戸神が犯人だった場合、もちろん行成との恋は非現実なものになってしまいますから、これで良かったと思います。なるほど細部まで計算ずくだなあ、と。まあ、この真犯人のあたりを少し斬新あるいは別の手段で意外性のあるものにしてくれていたら不満という不満はなくなっていたのですけども。

いやあ、とにかく面白かった。最初から最後まで釘付けでした。「聖女の救済」の内容もう吹っ飛びそう^^;