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絵の消えた額  (ねこ3.7匹)

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都筑道夫著。光文社文庫


かくれんぼで鬼から身体を隠していたら、いつの間にか消えてしまった子。恋人の声がして、目を
凝らすと、別れた女房の顔がある。友人の危篤で駆けつけると、何もなく、首を傾げて帰宅したら、
心臓発作の報が届く。ページをめくるごとに文章の妖しさに囚われていく。著者自ら名付けて、
ふしぎ小説。掲載の12編は240冊の作品群から著者が厳選した、その真髄である。(裏表紙引用)



多分我が家で一番長い積読本。数年前は都筑さんの本を結構読んでいたのだけど。すべ猫開設以来
1冊も読まなかった、って事になるね。
一種の怪談集であり、古き良き時代の雰囲気が文章から漂って来ます。怪異もどこか哀愁があったり
生活感に溢れていたりと、現代で普通にイメージする怪談とは違った趣き。何も説明する必要が
ないというのか、不思議で理が通らないのにすうっと物語が閉じて行く様はさすがとしか言いようが
ない。
中にはミステリー仕立てになっていて、読後ハッとするものや、落語のオチのように切れのいい
ものも。どちらかというとこれらの作品の方が自分は好みっぽかった。
最後に収められた2編は、多分シリーズもの。雪崩連太郎、という名前が出て来た時「この人
知ってる」と思ってしまったので昔読んだ本に出て来たキャラのはず^^;;この2編も怪奇もの
なのだけど、少し冒険譚のようになっているのが特色かも。
堪能いたしました^^