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阪急電車  (ねこ3.9匹)

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有川浩著。幻冬舎


恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車…。8駅から成る、片道わずか15分間の阪急電鉄今津
線で、駅ごとに乗り降りする乗客の物語。電車は、人数分の人生を乗せて、どこまでもは続かない
線路を走っていく―片道わずか15分。そのとき、物語が動き出す。 (あらすじ引用)



私事ですが、20歳くらいの若かりし頃、阪急沿線に住んでおりました。ほんの2年程度でしたが、
阪急梅田駅のなが~~~いエスカレーターをえっちらおっちら上ると、視界いっぱいに広がる神戸線
宝塚線、そして右端の京都線。茶色いのか赤いのかわからないのっぺりとした車体が無言でただそこに
居て、安さが売りのJR、虎さんファンや鉄道マニアを乗せて走る阪神電車とは違うんだぞ、的な
貫禄を漂わせておりました。(偏見)

自分は京都線を利用しておりましたが、このお話は「今津線」ということで、はてさてまったく
馴染みがない沿線が出て来ました。う~、ちょっとだけがっかり。


というわけで、ラブロマンスですな~~~~。
ちょっとしたきっかけで恋に落ちる男女が車内から見た外の風景。そこから始まる会話。
恋人を寝取られた腹いせに結婚式に白いドレスで乗り込んだ女が、車内で出会ったおばあさん。
車内で始まった痴話喧嘩。ホームでのいじめに立ち向かう小学生。
マナーを知らない主婦軍団や、嬌声すらも微笑ましい女子校生たち。

阪急電車の数分間の中で擦れ違う人々のささやかなドラマ。
登場人物の会話のノリがやはり関西なので読んでいて落ち着きます^^;萌え的なキャラが
出て来ても、こういう子いるいるという書き方だし、高校生・えっちゃんの彼氏の話が実話な
だけに、笑いが止まりません^^;;

一つ一つのお話としては、ラストがそれぞれ「あ、これで終わっちゃうんだ」という印象のものが
多かったです。次に続いて行くので長編として考えればこれで良かったのですが、個人的には
「何かがあって、心理的に大きな変化があって、前向きに」という流れだけなら本で読む必要は
あまり感じません。ここまでなら、生きてても自分の力で来れるんですよ。もっと先の違うものを
見せてくれたらもっと評価してたかな。
でもぐいぐいと読ませてくれる面白さだったので、とりあえず満足。基本的には若い子向けかな。