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誰かの見た悪夢  (ねこ3.2匹)

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積木鏡介著。講談社ノベルス


帰省する途中、大学生の醍醐と夢摘は車中に脱走した子供が紛れ込んでいるのを発見した。行きがかり
上、送ることになった二人が辿りついたのは醜悪至極な幽霊病院。惨劇の記憶を封印した脱出不可能な
館で首切り死体が次々現れ、惨劇はやむ気配すらない。奇怪でおぞましい真相、唯一無二の奇妙な
味わいを堪能あれ。(裏表紙引用)



今さらですが積木さん。4冊しか出てないけどこれで読破。何年も新刊が出ていないところを見ると、
復帰は期待出来ないかなあ。一般受け率ゼロだと思うけど、おいらメフィスト組の中では結構好き
なのになあ。

というわけで、本書。おいらとしてはデビュー作と二作目に比べたら物足りないのだけど、世間では
一番これが評判が良さそう。持ち前の地獄のような黒さが鳴りを潜め、本格ミステリの体を成して
いるからかなあ。その謎も論理もトリックも悪くはなかったし。
実はある人物の行動、性格に違和感を感じまくっていたので、そこを糾弾してやろうかと
思ったら真相に関係があったので書けなくなった^^;グロさがなくなった分、新本格らしい
蘊蓄野郎が登場してしまい、宇宙語が飛び交う章がうんざり。主人公の醍醐はいわゆる”ツッコミ”
タイプのようで、いちいち文中で電波人間の講義にツッコんでいるのが邪魔に感じる。それを面白味と
捉えても問題はないのだけど、あまり読者の心中を代弁しすぎるのって好きじゃないんだわあ。
ちょっとこの章は無駄だったね。

まあ、本格ミステリと言ってもこれだけで終わるわけはないのが積木さん。
あまり期待しないで読むとなかなかの満足感が得られるのでは。おどろおどろしい雰囲気や、
狂気に蝕まれた登場人物が大好き、という人にはお薦め。ほとんどの人物が個性的で強烈です。