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ライトニング/Lightning (ねこ4匹)

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ディーン・R・クーンツ著。文春文庫。


いまは流行作家としてときめくローラ・シェーン、かつては孤児院で辛酸をなめた薄倖の美少女だっ
た。これまでの生涯、何度か人生の危機や事故に見舞われそうになったが、そのつど、どこからとも
なく立ち現れて危難から救ってくれた”騎士”がいた。そのたびに、空には閃光が……。ジャンルを
超えた傑作スーパー・スリラー。(裏表紙引用)



長い事本棚で眠っていた本。クーンツは『ウォッチャーズ』と『アイスバウンド』しか読んでいない
のでこれが3作目ということに。『ウォッチャーズ』は今ならねこ5匹ものの大傑作だったが、
その後に読んだ『アイスバウンド』が全く合わず、どうしていいかわからなくなっていた^^;
その間に得た予備知識は、クーンツの物語はワンパターンが多いということと、必ずハッピーエンドで
終わる(ネタバレではないらしい。。)ということ。ハッピーエンドで終わるって知ってて読むのも
どうなんだと言いたいが、今まで読んで来た作品(コレ含む)だけで判断すれば「ハッピーエンドじゃ
なきゃ不満が残り」そうな物語なんだよなー。。

本書はタイムトラベルもの。読んでいてずっと「ターミネータ-2」が頭をよぎってしまったが
好きな映画なのでまあ良しとしましょう。ローラが産まれ、母が死んだその日から始まり、
作家となり、結婚し子供を育て、さらにそれから先まで、30数年のローラの人生に起きた様々な
出来事が描かれている。幼少期から孤児院で育った彼女の人生は悲惨続きで、とにかくどうして
ここまで神に見放されてしまうのか、読んでいて苦しくなる。孤児院で知り合い親友となった
セルマとルースの存在だけが救いと言えるか。やっと幸福を掴んだかと思ったらすぐに手のひらから
こぼれおちてしまう苛酷な人生は、やがて彼女を聡明で強い人間に変えた。

中盤までは怒濤の展開に次ぐ展開で、間違いなく一気に読める。物語を読む楽しさを思い出させて
くれる。自分の知ってる国内作品ではあんまりこういう種類の興奮って得られないんだよな。。
中盤からはナチスドイツ支配下の要素が加わり、ローラと息子、守護の天使であるシュテファン対
ゲシュタポとの時空を超えた闘いが始まる。タイムパラドックスの絡みもあってこのへんは正直
理解出来ていたかどうか怪しいが^^;、登場人物紹介でヒトラーウィンストン・チャーチル
載っていたのでなんとなく予想はしていた。勉強不足ですいませんと言っておく。前半に比べ、
後半はあまり好みでない展開になりだるみぎみ。

ラストシーンに関しては読んでみてと言うしかないが、自分が一番望んでいた展開にはさすがに
ならなかったものの、とりあえずあたたかい気持ちになれたので不満はない。
美しく勇気の塊のようなローラ、賢くて従順で生意気なクリス、孤独の中愛の為に闘い抜いた
シュテファン、ユーモアの天才でありびっくり箱のセルマ。550ページの長編だったが、
読んでいる間中、読み終わってからもずっと彼らの事が大好きなままだった。