すべてが猫になる

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エレGY  (ねこ4.2匹)

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泉和良著。講談社BOX


「よかったら、へんじください。へんじがこなかったらじさつします。」
しがないフリーウェアゲーム作家の「僕」がネットの海で出会ってしまった彼女、その名は「エレ
GY」。破天荒に加速する”運命の恋”を天性のリズム感で瑞々しく描き切り、選考会に居並ぶ
編集者のみならず、あの乙一滝本竜彦を絶賛の渦に叩き込んだ講談社BOX新人賞流水大賞優秀賞
受賞作。


”危険な新人”シリーズというのか、講談社BOXより3作、3人の新人作家さんが登場。
「さあ、叩け!」というインパクト大のキャッチコピーは読者への挑戦状だ。
正直言うと、もう1作違うある作家のものも読んでみたのだがそちらは早々に挫折した。文章が
稚拙すぎて今さら叩く気にもなれない山○悠介レベル。根性なくてすいません。ずらずらとこの
シリーズの感想を並べるつもりだったので残念無念。

内容はちょっとぶっ飛んだ青春ものというのか、病んだ世代の応援歌、それでも若さいっぱいに
がむしゃらに生きる少年少女の純愛ラブストーリー。
出だしが『パンツ姿の写真送って下さい』で始まるので「こりゃ相当イタそうだぞ」と斜に構えて
読み始めるも、勢いまかせの文章とポンポン進む怒濤の展開にのめり込むのに時間はかからない。

叩くつもりで読むほどおいらは暇ではないのでもちろん絶賛の方向で。
そもそも、こういう小説を手に取って読もう、という人種はメフィスト賞ラノベなどで免疫力も
あり、ある程度の「本物、偽物」を識別する能力は持っているはずだし、出版社側もはなから
ターゲットはそのつもりだろう。本を製作する人間が読者をそこまで莫迦にしているとは思えない。
誰でもそうだろうけど、自分は一応自分の感性に自信を持っている。だから今回は書評を一つも
廻らずに堂々と言える。人を愛する事の不器用さを、生きている実感を、ここから登り詰める
パワーを全て若者のどうしようもない個性で表現しきったこの世界。叩かれても、佐藤友哉みたいに
這い上がって来い。