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毒笑小説  (ねこ3.9匹)

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東野圭吾著。集英社文庫


塾にお稽古に家庭教師にと、VIPなみに忙しい孫。何とかゆっくり会えないものかという祖父の訴えを
聞いて、麻雀仲間の爺さんたちが”妙案”を思いつく……。前代未聞の誘拐事件を扱った「誘拐天国」
をはじめ、毒のある可笑しさに満ちた傑作が1ダース!名作『怪笑小説』に引き続いて、ブラックな
お笑いを極めた、会心の短篇集。「笑い」追求の同志、京極夏彦との特別対談つき。(裏表紙引用)



昨日の「黒笑~」記事が思いのほか長~くなったので、今回は手短に。

『誘拐天国』
学歴至上主義の時代を皮肉ったものというのか、一般家庭に照らし合わせるとかなり大袈裟かなあと
思うのですがなかなか風刺としての焦点は合っているのでは。

『エンジェル』
未知の生物の出現に初めは愛玩動物として馴染んでいた日本人だが。。。
牛や豚を食する日本人(人間、でもいいか)としては永遠のテーマですね。でも感覚としては
こういう残酷さ(つまりブラック)は欧州向きだと思うのですが。。日本人って現実にはこうは
ならないような気が。。

『手作りマダム』
おいらが結婚したら何を恐れているかというと、主婦達が寄り集まるティーパーティなのだ。。
女同士って悪口や噂話で盛り上がるように出来てるのに、こんなお世辞と見栄でしか成り立たない
集まりなんて考えただけで鳥肌が^^;現在1児の母となった友人がこれで苦労しております。。

『マニュアル警察』
はっはっは、これは面白過ぎ^^;警察がこんなマニュアル化したらやだねえ。まあ、ほとんど
直接お世話にはならないけど。だからってわけじゃなく関係ないけど、今やどこの企業、ショップに
電話しても「お電話ありがとうございます、○○○○○○○(会社、店名)○○店(支店名)
担当の○○でございます」とやられるのには閉口しているゆきあやです。言い終わるの待つのが
だるい。相手が言い終わった後ヘンな間を空けてしまうなり。。言い終わったかどうか不安なので。

ホームアローンじいさん』
家族がフランス料理店へ出掛け、一人で留守番になったおじいさんがやりたかった事とは。。。
これはリアルに男性なら一度はありそうですね^^;子供の頃って、兄弟の部屋とかに留守中
こっそり入った経験って誰でもあるんじゃない?^^

『花婿人形』
ザコンの青年が、母が選んだ女性と結婚式を挙げることになるが、当日彼の身にハプニングが。
まあ、男性は誰でもいくつになってもマザコンの要素があるっていうからね^^;
このオチの続きが読みたいなあ。想像出来るのだけど、お話によっては具体的に知りたい時がある。。

『女流作家』
人気女流作家が妊娠し、執筆活動が休止となったが。。
これはなかなかのミステリに仕上がってますね。やっぱり東野さんはこういうのが得意か^^

『殺意取扱説明書』
無差別殺人が頻繁に起きてる世の中だけど、怨恨がらみであろうと結局衝動なのか?と思うと
怖いよやっぱり。
このお話は「笑い」って感じしないなあ。

『つぐない』
これはなんていい話なんだ!!!!
真相については少しがっかりした面もありますが(まあ東野さんらしい内容なのだけど)、
物語的にはまさかこんないいお話になるとは、って感じだろうね。ラストの「まともな人間なら」の
くだりが好きだ。

『栄光の証言』
犯罪の目撃者っていうのはこういう心理になる場合もあるんでしょうかねえ。
このラストは想像外というか、結局目立たない人間の末路というのが表現されている気がして
良いっす。

『本格推理関連グッズ鑑定ショー』
なんてマニアックな道具なんだ^^;やっぱり展開がミステリだと「おおっ」と来るねおいらは。
ネタ的に苦しい感じがして読んでいたのでちょっと喜び^^

『誘拐電話網』
これはなんとなくオチが見えたけど、人間の心理をうまく突いてますねえ。他人の不幸には鈍感
なのが今の世の中だと思うけど、皆優しさっていうのも本能で持ってると思うんだよね。
行動するかはともかく。


『巻末特別対談 京極夏彦VS東野圭吾
普段対談まで記事で感想書いたりしないんだけど^^;実はこれがあったからこそ読んだ甲斐が
あった気がした^^;;京極さんのお顔を初めて拝見!!!!こ、こんな美しいお方だったとは!!
作家さんらしい風貌だよね~。そしてちょっと女形というか。
対談の内容も素晴らしかった^^お互いを認め合ってて、価値観が共通しているんだなあ、と
しみじみ。東野作品の裏誕生秘話にも興奮。
「ふざけたものを書くのと、ふざけて書くのは違う」かあ。笑いを書くにはテンションの維持が
大事というお話も「へえ~」と納得。


あ、長くなった^^;しかし、「怪笑~」ほんとに買っておくべきだった^^;