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黒笑小説  (ねこ3.8匹)

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東野圭吾著。集英社文庫


作家の寒川は、文学賞の選考結果を編集者と待っていた。「賞をもらうために小説を書いているわけ
じゃない」と格好をつけながら、内心は賞が欲しくて欲しくてたまらない。一方、編集者は「受賞を
信じている」と熱弁しながら、心の中で無理だなとつぶやく。そして遂に電話が鳴ってーー。文学賞
めぐる人間模様を皮肉たっぷりに描いた「もうひとつの助走」をはじめ、黒い笑いに満ちた傑作が
満載の短編集。(裏表紙引用)



これ、昔からエッセイだと思って避けてたんだよね。よもさん情報によるとゆきあや絶賛の
「超・殺人事件」に近い内容だというから慌ててこのシリーズ2冊買ってしまいました。実はもう
「毒笑~」も読んでしまったのだけど^^;、ゆきあやが混乱するから1冊ずつね。くそう、
「怪笑~」も買っておくべきだった。。


『もうひとつの助走』
立場は違えど、何度も賞の候補に残りながら落ちているという寒川ってもしかして東野さんが
モデル・・・?そう思ったらかなり自虐的だなあ。

『線香花火』
新人賞を受賞した、作家志望のサラリーマンのお話。賞を獲れば作家としてバラ色の人生か、と
思ったらそうではないのです。。。これは大抵の職業でも共通する事かも。資格を取ったから
自分に適した職業にすぐ就けるってわけでもないしね。あくまでスタート地点なのだ。
なんとなく、熱海の家族の反応は理解できるような。。音楽でも、やっていない人には
凄い事とそうでもない事の区別がつかないじゃない。
とりあえず、熱海圭介の受賞作『撃鉄のポエム』が読みたい(笑)

『過去の人』
また熱海圭介が登場(笑)受賞パーティでの一幕です。これに出て来る「虚無僧探偵ゾフィー」が
凄く気になる(笑)なんとなく、西尾維新とか舞城王太郎とかあのへんを連想すればいいのかなあ。


『選考会』(※ちょっとオチに関する内容に触れるかも、ご注意)
寒川さんがまた登場(笑)初めての選考委員ということで鼻息が荒い^^;
これのオチは酷いけど、好きだなあ。作家に限らず、読者でもこれに共通するものを感じる場合が
多々あるよ^^;世代って言ってしまえばそれまでだけど、「好き嫌い」じゃないところで
新しいものを否定するのなら慎重な方がいいと思う。


『巨乳妄想症候群』
ノーコメント^^;

『インポグラ』
ますますノーコメント^^;;まあ、世の中万能のものなんてなかなかないのよ。特に男女関係
はねー。

『みえすぎ』
遺伝による特異体質で、細かい粒子が肉眼で見えてしまう青年。
これはなんか、悲惨ですね。これじゃ生きて行けない。。休憩室とかで、口のあいた飲み物とかが
テーブルにあるのに(自分のとは限らず)堂々とヘアスプレーやコロンを降る女性っているじゃない。
あれやられるの嫌いなんだけど。でもこれ言ってたらキリがないんだろうなあ。

『モテモテ・スプレー』
なんかドラえもんとかに普通に出て来そうなスプレーですが^^;
一般でこういう道具を使って異性の気を惹こうとするのはどうかと思いますが、そうだなあ、
自分なら憧れの芸能人とかに記念に一日だけ使ってみたいって一瞬思っちゃったね^^;

『シンデレラ白夜行
これはシンデレラの別解釈として読めばそれほど斬新ではないかな。。。

『ストーカー入門』
ははは、別れた男に強制的にストーカーさせるというのは笑えるかも^^;色々決まったお約束が
あるのね(笑)。女は追われてこそ花?(おいらはそう思わんのだが。。話は違うけど、よく
女同士で「女は愛するより愛されるのが一番」って言うじゃない。「お互い愛し合ってるのが一番」
だとおいらは思うのだが。。。「妥協」って言う観念で出て来る台詞なので、おいらにはよく
わからない。。)

『臨界家族』
うわー、何でもかんでも子供に買い与えちゃって^^;;
ま、それを語ると長くなるのでさておき。これのオチは面白いなあ^^;ここまでリサーチする
か?^^;

『笑わない男』
売れないお笑いコンビが、手違いで泊まった高級ホテル。能面顔のベルボーイを笑わせられるか!?
はっはっは^^;これが一番笑えるお話でした。ここまでして笑わないってよっぽど教育がいいん
だねえ。さて、彼は最後笑うのでしょうか?ご期待^^ぷぷぷ。。

『奇跡の一枚』
これは唯一笑いのないお話ですね。ミステリかホラーに近いかもしれない。



とにかく、笑いって難しいですねえ。。個人的には下ネタに走られちゃうと笑えないのだけど。
酔って脱ぐ人とかいるじゃない。全然面白くないんですけど皆ウケてるんだよね、たいてい。。
かと言ってダジャレも落語も苦手だしなあ。世の中をちょっと斜めに見たり、人間観察して
「こういう人はなぜこうなんだ」と思うとか、そういう暗い話題がおいらは結構盛り上がるので、
東野さんの視点って結構自分に合ってるかもしれない。。