すべてが猫になる

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この指とまれ  (ねこ3.5匹)

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小川勝己著。実業之日本社


美貌の女子大生・椙浦夏子は、稼いだバイト代全てを貢いだ恋人を、社長令嬢・日ノ原麗華に
奪われた。「お金持ちになって、あのふたりを見返してやる!」と誓う夏子は、大学の同級生で体育会
スキー部に所属する鹿沼歩、父親が会社で不正を働いて逮捕されたスキー部の後輩・吉田博貴、夏子が
バイト先のキャバクラで知り合った長谷川夏樹らを仲間に加え、詐欺グループを結成する。学生
サークルのノリでカモを騙す計画を練る彼女たち。数多の犯罪の成功に味をしめ、より大物を
ターゲットに定めるうちに、いつしかヤクザや警察を敵にまわすことになって…。狐と狸の化かし
合い。悪魔は誰に微笑むか。 (あらすじ引用)



『イヴの夜』よりコッチの方が後だったんですね^^;勘違いしてたわ。。
これで小川さん制覇、かと思いきやどうやら新刊が出たようで。頑張って読んでるのに追い付かない
わぁ。。

今回はアマチュア詐欺師集団のお話ということで。題材的には小川さんらしいかな。登場人物は
混乱しそうなくらい多いのですが、全員アクが強いせいかそれが逆に個性を殺している気がして
(だってほぼ全員悪人なんだもの)小川作品独特の”壊れ感”が薄かったです。俊明少年だけ
印象深かったのはそのせいかな。
その中でも一番目立っていたのはリーダー格の夏子。詐欺に手を染めるきっかけが失恋なんですが、
女の人でそこまで執念深い人って珍しいような。。たとえそれがどれだけ酷い経験でもね。
男性の方が、別れた彼女の電話番号をいつまでも消さなかったり何ヶ月も彼女の事を想って次を開拓
しなかったりと未練がましい(言葉が悪くてすいません男性方^^;)気がするんですが。。

・・・という、本来なら小川作品の場合”壊れてるから”という理由で納得出来るこういう
パターンが、今回自分の中で発動しなかった模様。
語り手が次々変わっていく構成は良いのですが、全体的には錯綜しているというよりは、1つの絵が
ページをめくるたびにどこか一部変わって行く、という印象です。

ややこしかったし、ちょっと不完全燃焼。壊れろ壊れろ小川さん。←おかしい