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山魔の如き嗤うもの  (ねこ4.3匹)

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三津田信三著。原書房ミステリーリーグ。


忌み山で人目を避けるように暮らしていた一家が忽然と消えた。「しろじぞうさま、のーぼる」
一人目の犠牲者が出た。「くろじぞうさま、さーぐる」二人目の犠牲者―。村に残る「六地蔵様」の
見立て殺人なのか、ならばどうして…「あかじぞうさま、こーもる」そして…。六地蔵様にまつわる
奇妙な童唄、消失と惨劇の忌み山。そこで刀城言耶が「見た」ものとは…。『首無の如き祟るもの』に
続く渾身の書き下ろし長編。 (あらすじ引用)



結構読むのに日数かかりました、三津田さんの如きものシリーズ(みんなコレの呼び名考えようよー
^^;)、皆さんに遅れをとりながらも待ちに待った新作です。
いやあ、読みやすいこと読みやすいこと^^;
登場人物の名前も三津田作品にしては普通だし、冒頭で”犯人ではない人物一覧”をフェアに
提示してくれているし、結構この作家さんは評判に忠実に前向きに対処する方なのかな?と
考えてしまいました。(でも、犯人探しはするけれどそれと名前を覚えなきゃいけない苦労は
別^^;)


とにかく禍々しい雰囲気はさいこう~^^見立ての歌が妙におぞましいし、見立て方がいかにも
本格ミステリの稚気に溢れていてもうそれだけでコーフン!言耶(やっと名前覚えました^^;
以前『ジーパンの人のシリーズ』とか書いた記憶がある。ちなみに主人公である。)が
相変わらず怪奇談に対しては変人です。この探偵、あんま個性を感じなくてそこだけが不満
なのだけど、そこだけは好きなのだ。今回は父親に対するコンプレックス等も書き込まれていて
だんだん肉付けがされて来たぞぃ。

そして肝心の謎解き。46もの謎を丁寧に論理的に説明して行く過程に痺れました。
行方不明になった一家の真相が一番好きだったなあ。かなりびっくりしたのだけど、先行作で
こういうの読んだ事がないのでそのせいかな^^
そして、靖美氏のあの真相もたまりませーん。どんでん返しについては賛否両論あるみたい
だけど、おいらは手前の謎解きが面白かったのでこれはこれでいいかな。ラストもやっぱり
ホラー作家出身らしいぞくっとする感触だし、好きだわぁ。
一番いいのは、「これ以外の真相は考えられない」事を証明してみせる事だと思うけどね^^