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ララピポ  (ねこ4匹)

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奥田英朗著。幻冬舎文庫


学歴主義、援助○際、裏○V女優、風俗専門スカウトマン等、”人生の負け組”と諦観したどん底
生きる人々をコミカルに描いた6話収録の連作短編集。
えと、いつものように裏のあらすじを引用しようとしたのですが、個人的に「これ、最初に言っちゃ
ダメでしょ」と思う記述があったのでやめました。ミステリならネタバレだよこれー。




ところで、本書は奥田作品の中でも人気のない、評価の低い作品のようです。
読み終わった後にそれを知ってびっくり。だって、自分は良い作品だと思うから。伊良部シリーズ
ほどの深みや悲哀、「最悪」ほどの興奮には匹敵しないけど、奥田さんについてはコレはコレで別物と
して好きなのだ。正直言って、読んでてイライラするお話(カラオケ店員)や、胸の悪くなるお話が
ほとんど。で、評判を知り、やっぱり世間は気分の悪いものはウケないのだな、と思った次第。

エロ描写にかなり積極的なのは一瞬引いたけれど、直接的な描写は控えているしこのストーリーに
不必要だとも思わない。自分の苦手な一線を越えていないので面白く読んだ。ネガティブに生きる
人々に光を与えるようなお話ではないけれど、エンタメとして物語の仕掛けやドラマ性、
普通に生きていたら遠いところにある不思議な人間心理を楽しむには不足はなかったねえ。
何よりも、登場人物達の関連性、オチのつけどころなど、”もしこれがミステリだったなら!”
かなり良作なのではないか、、と思ったのだけど。