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野球の国のアリス  (ねこ3.7匹)

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北村薫著。講談社ミステリーランド


野球が大好きな少女アリス。彼女は、ただ野球を見て応援するだけではなく、少年野球チーム
ジャガーズ」の頼れるピッチャー、つまりエースだった。桜の花が満開となったある日のこと。
半年前、野球の物語を書くために「ジャガーズ」を取材しに来た小説家が、アリスに偶然再会する。
アリスは小学校卒業と同時に野球をやめてしまったようだ。しかしアリスは、顔を輝かせながら、
不思議な話を語りはじめた。「昨日までわたし、おかしなところで投げていたんですよ。」…。
(あらすじ引用)



不思議の国のアリス」の世界をうまく現代の少年少女に取り込んでいて、素敵な設定ですね~。
アリスが”ウサギさん”を追いかけて鏡の中に入り込むシーンといい、ハートのクイーンの
女王様の存在といい、昔の童話のワクワクするトキメキが満載です。
何より、野球に魅せられた主人公アリスの設定の魅力がたまりません。読めばわかりますが、
これは野球なのに”少女”を選んだ事が絶大な効果をあげていますね。

この物語の魅力は、やはり子供のうちに知っておきたい教訓がたくさん散りばめられている
ところです。人を見下さない気持ち、どん底まで落ちても這い上がる心、登り詰めても
奢らない心がけ、失敗しても心から謝る勇気、仲間のために自分を優先せず考えること。
そっけない標語などではなく、こうやって物語から学べるというのは素晴らしいと思います。
人間、心が動いて初めて理解でき行動できる事が多いのですから。

特に好きなシーンは、五堂が対戦チームの神岡君にアリスの事を莫迦にされ、激昂する時の
台詞です。おいアリス、安西君よりこの子の方がいいんじゃないか?^^



と、ここまでは4.5匹くらいのテンションで感動しながら読んでいましたが。

予感的中。試合が始まってからの最後の数十ページ、おいらが野球を全く知らないために
書いている事のほとんどがわかりませんでした。。。何しろ、野球というスポーツが
「投げて、打って、それから走るのはなぜ??」というぐらい自分にとって未知のもの
だからです。これは野球をちょっとでも知っている人かそれ以上の人にはわからないと思いますが、
こういう人間には本当に文章自体の意味がまったく伝わって来ないんです。。。
自分は言葉の意味そのものがわからないと”感覚で読む”という事が出来ないのでござる。

そういうわけで、多分物語的なハイライトや、いいシーンがあったんでしょうに、
脳が反応できずで気がついたら終わってしまってました^^;あれ?
いい作品なんだろうと思ってますが、自分は最初がどんなに盛り上がってもラストまでそれが
維持できないと印象に残りづらい。。作品を否定はしておりませんのであしからず。