すべてが猫になる

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川に死体のある風景  (ねこ3.7匹)

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綾辻行人有栖川有栖歌野晶午大倉崇裕佳多山大地黒田研二が「川と死体」をテーマに競作。
美しくトリッキーなアンソロジー。 創元クライム・クラブ。



オムニバスを読むのは3冊目というくらいオムニバスには手を出さない主義のゆきあやさん。
1冊目の『気分は名探偵』は麻耶さんが入っていたから買った。先日のバカミス・アンソロジー
バカミスだったから読んだ(はて)。
今回の作品集は、まあ「くろけんが入っているから」という理由と、知識のない佳多山さん以外は
好きな作家さんばかりだったからまあ退屈しないだろうと。
とは言っても、歌野さんのと綾辻さんのは短編集で読んだ事のあるやつだったけど。記憶にないので
良しとする(おい)。

というわけで、実は”面白かった順”に感想書こうと思っていたのだけど、ある作品を除いて
全部面白かったんだよね。順番つけられないので収録順に。


『玉川上死』歌野晶午
これは『ハッピーエンドにさよならを』に収録されている作品。既読ですが、既読のはずですが、
全く記憶になかった。はっはっは。
夏休み最後の思い出に世間を騒がせるイタズラをする、という設定が黒くてさすが歌野さんという
感触。事件の真相そのものも暗いのですが、それに関係する人々の心の痛みが一番キマしたねえ。


『水底の連鎖』黒田研二
く・ろ・けん!く・ろ・けん!ということで。くろけんの短編って初めてなのでワクワク。
水難救助隊の青年が主人公。ガールフレンドと共に、沈んでいた3台の車の因果関係を
調べ始めます。これは時系列と動機がこんがらがって来るのをうまいこと一つ一つ解きほぐして
行くかたち。それに加えて、主人公の人柄が垣間見えるラストがくろけんらしくて素敵。


『捜索者』大倉崇裕
久しぶりの大倉さん。おおっと、山岳ミステリですか。(あれ?これは『川ミス』……^^;)
大倉さんは山岳ものを書かれているらしいですが、得意分野なのでしょうか。
遭難者をテーマにしたミステリは短編では定番ですが、じっくり丁寧にトリックと動機が
練られているのがわかりますね。意外性や斬新さという意味ではないですが、すっかり
ベテラン作家のような実力を感じさせます。


『この世でいちばん珍しい水死人』佳多山大地
評論家の方が書いたデビュー短編とのこと。
奇を衒ったわけではないそうですが、異色作ですね。
設定は面白かったのですが、上手に処理しきれなかった印象。残念。デビュー作なので
仕方ないのですが、文章に地の文があるものの方がおいらは好きなので判定がしづらいかな。。
違う作品集の中に入っていれば普通に気に入ったかもしれない。


『悪霊憑き』綾辻行人
うへへへへへ、綾辻さん登場!再読なのにコーフン!
例によって読んだ記憶なし。あ、石倉医師おひさしぶり^^
「深泥丘綺談」でまとめて読んだ時は、本作を「唯一ミステリみたいでどうも。。」という
感想だったはずが、今回オムニバスの中で読むと「唯一ホラーみたいで良いぞ~^^」と
思ったのだから読者っていいかげん^^;


『桜川のオフィーリア』有栖川有栖
アンカーは我らの有栖川さん。江神シリーズですね^^
短編らしい、座談会のような雰囲気の安楽椅子探偵がいっぱいいるタイプのもの。(←日本語?)
ちょっと哀しい雰囲気がやっぱり素敵。あとがきも、一番好みでした。小説みたいなんだもの。
『女王国の城』を読んでしまった後なので、読み方が冷静か?


以上~。オムニバスの楽しさに目覚めて来たかも^^