すべてが猫になる

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家日和  (ねこ3.7匹)

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奥田英朗著。集英社


家、家族をテーマにした奥田さんのほのぼの短編集です。
べるさんのところで存在を知った本なのですが、てっきり新刊だと思ってしまい^^;
べるさんに「出てから一年以上経ってますー^^;」と突っ込まれました。。ええぃ、おだまりっ。
どれも奥田さんらしさが出ていて、大変良かったですねー。
毒がないようで、ちょっとした教訓がそれぞれに必ず盛り込まれているのがさすがです。



サニーデイ
ネットオークションにはまったある主婦のお話です。
これは凄く共感出来ました。端から見ると病的に見えるのかもしれないところも、良い評価を
貰うのがやり甲斐となっていく様も。肌の皺が消えるかどうかはさておき^^;
ハマるあまりに、徐々に彼女が出品する商品がこうなってしまうのは良くないですね。
あくまで自分自身が管理出来る範疇でなら、どんどんやるべきだと思いますが。
パソコンに馴染みのない人は、「インターネット」と聞くとひきこもりや犯罪予備的なものを
連想してしまうんだなあ、というのは普段でも自分は感じていました。ネットの友人、と言うと
必ず異性と決めつけられたり、出会い系のようなイメージを持たれてしまうのは好きじゃないなあ。


『ここが青山』
リストラされた夫。妻は意気揚々と働きに出掛け、夫は家事にプライドを見つけ出す。
これは素晴らしい作品ですね。特に女性読者に支持されるのではないでしょうか。
人間の自然な姿というのは本能としてそれはあるのでしょうが、そうでない状況を成立させる
姿というのも美しいと思いましたね。お似合いの夫婦です^^
ただ、わたくしこの作品に出て来る文言の読み方を勘違いしておりました^^;;;;
最後に正しい読み方をする人物が出て来て物語の落としどころとなるのですが、まあ、これが
物語になるということは読み方を知らない人間の方が世の中多い、って事なんでしょうか。
ね、そうですよね?^^;;


『家においでよ』
妻と別居する事になった夫。彼は残された家で、自分好みの家具、空間を造り上げる。。。
この夫の気持ち、凄くわかります。自分も昔はCD、レコードを6~700枚くらい所有して
いたので、結婚するならこれを理解してくれる人じゃないと、なんて思っていました。
今はそれが本になってますが^^;まあ、本ならいざとなったら図書館なりありますからねえ。
自分が持ってた音源はレンタル屋にはないようなものが多かったのよ。
男性と自分の違いは、「それを持っていたい」というこだわりの度合いかなあ、と。
最終的に自分はどこでも生きて行けるつもりなので、(それこそ風呂のないアパートでも)
「読めりゃいい」人間なんです。余裕があればそれなりにやりますが。


『グレープフルーツ・モンスター』
毎週訪れる、妻の内勤の営業マン。妻は最初その無礼な男を嫌っていたが。。
これは唯一全く理解出来ないお話でした。
奥田さんは女性を描くのが上手なはずでしたが、あえてこういう設定を造り上げたのはなぜでしょう。
生理的に嫌悪しているタイプの男に、性的欲望をおぼえるとは。。。
そのために普段やらないお化粧をしたりお洒落したり、夢に見たり。
なんのことやらわかりません。
おそらくこういうタイプの女性は何百人に一人、とかだと思うんですが^^;;ただ、だからこそ
物語になるのかな。


『夫とカーテン』
何をやっても職が長続きしない夫。今回夫が始めようとしたのは、カーテンとカーペットの
お店!イラストレーターとして花が咲き始めている妻は不満が爆発しそうになるが。。。
ははは、これはアリじゃないですかね。^^;
個人的には付き合う男性、夫がこういうタイプでも好きならしょうがないと思うかな。
どちらかと言うと、自分は安定した堅実タイプより逆のタイプの人とばかり親密になって来たので。
でも今度は安定タイプがいいかなあ。って、自分の話か^^;



『妻と玄米御飯』
作家の夫は、妻と近所の人達のロハス思考を揶揄した短編を書き上げたが。。。
これはわざと彼らを憎たらしくおかしく書いている作品なので、夫に共感してしまいましたね^^;
自分が実行しているのは冷房の温度と少量の時のコンビニの袋ぐらいですが。
でも、ヨガは良さそうねえ^^



以上~。
結構長々とそれぞれ感想を書いてしまいました。それほど私達に身近なネタが詰まっている
作品集ということね。良かったら気楽にどうぞ^^