すべてが猫になる

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クラムボン殺し  (ねこ3.7匹)

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中島望著。講談社ノベルス


留守中に部屋を荒らされた七浦陽子は一人暮らしの二十代女性。世間を震撼させる「眼球抜き連続
殺人」の被害者も全て一人暮らしの二十代女性。これは偶然の一致などではない、自分が次の
標的なのだと感じた陽子は探偵の新島に捜査を依頼。だが真相に辿り着けないまま、彼女が勤める
学園で「校歌見立て殺人」が新たに起きてしまう。迫る殺人鬼に、陽子の運命は?(裏表紙引用)



メフィスト賞作家だった事を忘れかけていました中島さんの初・ミステリ作品。結構この作家さん
好きなので、発売当初から気にかけていたのですが今になってしまいました。
読みやすいのはいいのですがあまり文章が良くない。漫画みたいだ。
ネタやストーリーは大変自分好みなのですが、ミステリとして素晴らしいとは言いがたい。
トリックは、ミスリードをしている部分がミスリードしているとわかってしまっては楽しみが
半減する。真相まではわからなかったしラストの犯人の正体には大変ウケたのだけど、
こんなに簡単な訳がないのだから引っ掛けとしては上手くはなかったなあ。

そして、グロ描写がたいへんキツい。。初ミステリ作品ということで、数々のミステリ作品の
名前を挙げてその雰囲気を出してはいても、やはり「こっち畑」の人じゃない”頑張り”が
見えてしまった。中島さん、ここまでグロくないんです本格ミステリ^^;
さらに、並行して起こる二つの事件の絡みがいまいち掴めなかったような。

特徴的なのは、キャラクター。自分らしさをミステリに取り込んでいるのか、この怪奇ネタは
面白味があります。最終的には続編がないのなら必要がなかったように思える葉月、
視線恐怖症になったその過去に同情出来ない陽子、ラストの据わりの悪さなど、結局
ネタばかりが目立ってしまった印象。


でも、面白さは格別。欠点は目立つのだけど、それとこれとは別、という感覚で読める
刺激的な作品でございました。