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切り裂きジャック・百年の孤独  (ねこ3.6匹)

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島田荘司著。文春文庫。


1988年、西ベルリンで起きた謎の連続殺人。五人の娼婦たちは頸動脈を掻き切られ、腹部を
裂かれ、内蔵を引き出されて惨殺された。19世紀末のロンドンを恐怖の底に陥れた”切り裂き
ジャック”が、百年後のベルリンに甦ったのか?世界犯罪史上最大の謎「切り裂きジャック事件」を
完全に解き明かした、本格ミステリー不朽の傑作。(裏表紙引用)



ロンドンの切り裂きジャックと言えば、女性を次々にナイフで襲った殺人鬼として恐怖の象徴のように
語られて来た犯罪者。それぐらいの知識はあるが、それぐらいの知識しかない。
彼をここまで有名たらしめたのは事件が未解決である事も関係しているらしい。
ミステリーが好きなおいらであっても、特別この事件に興味があったわけではないが、島田氏が
現実の事件を元にミステリーを描いたと聞けばそそくさと読んでみる気にはなる。


しかし蓋を開ければ「現実を元にミステリーを書いた」のではなく、「現実にあった未解決事件の
解明に挑戦」というノンフィクション+創作という主旨の作品だと言う事が判明した。
こういう新聞のような文体の作品は実はおいらは苦手で、物語的興味が薄い。
後半、突如ストーリーが加速的展開を見せ、ミステリー的面白さ満点の終結を見せるのだが、
これなら最初から完全なフィクションで読ませてくれた方が事実の方も頭に入りやすかったし、
”完全に解き明かしてくれた”気分にだけはなれただろうに。

とは言っても、後半からの展開の方が一般に目の肥えた読者には胡散臭がられるんだろうけども。
あの突如現れた、物語に似合わないけったいな人物の正体は○○○○らしいが、本当だろうか。もし
そうだったらちょっとショックだぞ。