すべてが猫になる

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ホット・ロック/The Hot Rock (ねこ4.1匹)

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ドナルド・E・ウエストレイク著。角川文庫。


長い刑期を終えて出所したばかりの盗みの天才ドートマンダーに、とてつもない仕事が舞い込んだ。
それはアフリカの某国の国連大使の依頼で、コロシアムに展示されている大エメラルドを盗み出すと
いうもの。報酬は15ドル。彼は4人の仲間を使って、意表をつく数々の犯罪アイディアを練るが
……。不運な泥棒ドートマンダーの奇怪で珍妙なスラプスティック・ミステリー。(裏表紙引用)




たいへん気に入りました^^。
エストレイクの作品はホラータッチの『斧』『鉤』の2冊しか読んでいないのですが、
これはまた作風がガラッと変わり、コミカルでカッコイイハードボイルド。元々ホラー作品でも
変わった発想が窺える作家だと思ってましたが、こちらのシリーズも自分が触れたことのない
展開、キャラクターてんこもりで楽しくて仕方がなかったです。

「5人で出来ない仕事なら何人でやっても出来ないんだ」というポリシーを持ち、かつての
悪の仲間を呼び集め、ドートマンダー隊がエメラルドを求め数々の作戦を立てて奔走します。
これがまた、面白い事するし大袈裟なんですよ^^;ヘリコプターで突撃したり車でコロシアムに
突っ込んだり。しかも、一人一人の台詞や行動が決められていて、一応シナリオ通りに行くんですが
絶対何かが起こってしくじってしまってまた取り戻して……の繰り返し。
それほど熱い男でもないんですが、芯があるしユーモアもあるしで人望を得ているんですね~。
彼の仲間達もそれぞれ特技があり、かたや保守的であったり積極的であったりと、個性溢れる
魅力的な面々です。
対照となる”少佐”も実はなかなかキャラが立っています。こいつがまた報酬を値切るわ
ズルいわ^^;ドートマンダーに手玉に取られている会話の全てがもうおかしくって^^;

果たして最後に笑うのはどちらでしょう?^^
とにかくキャラ、ストーリー、大変満足の出来でございました。このシリーズ、絶対
集めるぞぅ。