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模倣密室 -黒星警部と七つの密室-  (ねこ3.7匹)

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折原一著。光文社文庫


白岡と春日部で、猿が人を襲う事件が連続した。そんな中、一組の男女が密室の中で発見される。
女性は後頭部を殴られて重体、男は軽傷だったため、狂言との見方が強まる。しかし、密室マニアの
黒星警部が葉山虹子と駆けつけて、事件は二転三転することに……。(表題作)
小躍りしながら密室に向かう黒星警部。数々の名作が走馬灯のように駆けめぐる作品集。(裏表紙引用)



文庫発売当時、帯に『ウヒョ!』という文字がデカデカと躍っていたのは記憶に新しい。
表紙とタイトルだけだったら普通に西京好きのおじさんとかにも売れそうだったのに、あの奇天烈な
二文字がすべてを台無しにしていた。。。

そんなこんなで積読すること丸一年。あれだけ折原一の大ファンだったゆきあやが、叙述トリック
飽きまくって久しい。しかし、これは折原さんの唯一?のシリーズキャラもの。第1弾『七つの棺』は
ゆきあやオールタイム短編ベスト20に入れてもいいぐらいのお気に入りだけに、これだけは
読んでしまわなくては、、と(ええい前置き長い)


で、本作。作風そのものは第1弾とまるっきり変わっていない。が、密室そのものの原典の
マニアックさや黒星警部のキャラクターのぶっ飛びっぷりは前作の方が上。今回は『ユダの窓』や
『本陣殺人事件』やE・クイーンの某傑作をモチーフにしている作品が目立っていた。『本陣』は
ともかく、前作はもっと”海外もの”のパロディ感が強くそれが雰囲気にも出ていた気がするん
だよなあ。。

とかいいつつも、どれもこれも意外と平均より面白かった。
騙し合いや交換殺人、自分の仕掛けた罠に嵌まる犯人やバカミスと見せかけてそうではない
作品など、折原氏の引き出しの多さと密室に賭ける意気込みが表出しまくっていたように思う。
まあまあ楽しめたかな^^