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日曜の夜は出たくない (ねこ3.7匹)

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創元推理文庫

短編集。猫丸先輩シリーズです。

「空中散歩者の最期」
夢と現実の事件がうまくからみあった不思議ミステリ。短編ながらも奇妙な設定。
墜死した謎の男。しかし、周りには墜死に至るような高さの建築物がなく、、、。
死体も現実にそこに存在し、死因もはっきりしている。なのに。。
ちょっと考えたらわかるようなトリック?を、猫丸先輩が鮮やかに推理。
この結末は巧妙ですね。読者にあれれれ?と考えさせてしまう。倉知さんはこういうのがお得意なんでしょうか。

「約束」
少女と「おじちゃん」が公園で出会い、親交を深めて行く。
しかしある朝、「おじちゃん」は公園で凍死していた。自殺?他殺?というお話。
猫丸先輩のやさしい人柄が前面に出ている作品。泣けます。

「海に棲む河童」
冒頭の恐ろしい言い伝えが効果抜群。方言なのも(読めねーー。でも最後に訳あり。ほ。)良し。
ロマンスを求めて「恋が浜」へやって来た青年二人。
なぜか猫丸先輩が船頭(バイト。何してんねん)で登場。
漂流してしまった3人。言い伝えと同じようなシチュエーションになってしまいおびえる青年二人に
猫丸先輩が謎解きを披露します。
うわー、これはすごい。つじつま合ってるんだもん。ほんとであって欲しくない、ぞっとする真相です。テーマは、「友情」か「生への執着の恐ろしさ」か?

「一六三人の目撃者」
今回は猫丸先輩、舞台に出演(笑)なんでもするのね、この人。(しかも結構才能あるみたい)
舞台の本番中に起きた殺人。
ワインを飲むシーンで、実際に毒殺されるーーというのはよくあるかも。
機会と動機があったのは誰か?
探偵さながらに色々な推理をお互いにぶつけ合う関係者たち。(罪のなすり合い、とも言う)
煮詰まって来た推理を、猫丸先輩があっさり解決しちゃいます。
これはそんなに意外性はなかったかな。

寄生虫館の殺人」
はい、乱歩をパロっております。
文字通り、「寄生虫館」で発生した殺人事件。
猫丸先輩、今回は「寄生虫専門家」!!なんだこれーー。
これはちょっと強引な気がするけど、小説との二重構成になってて雰囲気を楽しむ作品、かな。

「生首幽霊」
生首が喋った!!
バラバラ殺人事件。
被害者の部屋は犯行現場ではなかった。死体もなかった。しかし死亡推定時刻には被害者の部屋にいたーー。ではあの喋る生首は何だったのか。
うーん、この要となるトリックは、、、まったく同じものを某作品で見ました、、、。
しかしこの結末はちょっとばかばかしくて面白い。

「日曜の夜は出たくない」
これ、読むまではてっきり猫丸先輩のセリフかと思ってました。。。
日曜の夜、頻繁に起きる猟奇犯罪。
犯人は、自分の恋人ではないのか?思い当たることが次々浮かび苦悩する女性。
これは、なかなか見事ですね。ほのぼの。

えー、最後におまけ?として、倉知さんと猫丸先輩の会話形式でこの短編集のかくされた「仕掛け」
が明らかにされています。「へえ~~」というものばっかりですが、こんなのじっくり読んでても
わかりませんよ~~。