すべてが猫になる

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まほろ市の殺人 春 無節操な死人 (ねこ4匹)

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祥伝社文庫

「幻想都市の四季」シリーズ。一作目はこの人、倉知さん。


全くの単発もの。

「痴漢に遭っちゃったよ、しかも幽霊の」
と、いきなり読者の度肝を抜く書き出し。まほろ市名物「浦戸颪」(けが人続出)。さあ何が始まるのか?
ーーその変態幽霊?に遭った美波の友人、カナコから突然の電話。「人を殺したかもしれない」!
マンションの七階から男を突き落としてしまった、ところが地上にあるはずの「死体」がない。
カナコが殺したはずの男は、なんとそれより前に殺され、川に捨てられていた…!

うーん、謎がいっぱい。
この作家の人物描写の巧みさには毎度ながら感服。ありていに言えば、「生き生きしている」。
最近の作家にしては珍しい正統派本格。でありながら世のミステリを読み慣れた読者の
「倉知ファン」の多さの要因は、この先述した要素あってこそじゃないでしょうか。

それはさておき、ストーリーですが。
まさにこの「死人」がいかに無節操なのか、がわかるくだりが面白いところ。ギャグみたいです。
七階から覗いていたという「死人」の謎も、わかってしまえばなあんだ、という感じで面白い。(ちょっと乱歩みたい)
すべてが「シンプル」だというこの事件、なるほど、ぴったりはまってはいるのですが、、、。


で、これ、肝心の謎がそのままなんですけど(笑)