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第17位 『ゲームの達人』 著/シドニィ・シェルダン

オールタイムベストで唯一の上下巻本。かつて一世を風靡したアメリカのミリオンセラー作家・
シドニィ・シェルダンを登場させてしまいました。昨年の1月に肺炎のため亡くなられたという
ニュースはまだ記憶に新しく、今でこそ「よく読んだ懐かしい作家」ではありますがこれでも
氏の出版本を『空が落ちる』まで所有している自分にとってはまた一つの才能が消えた、と
ショックを受けたものでした。

本書との出会いはかれこれ十ン年前、高校の友人に猛烈に薦められたのがきっかけです。
その友人というのは逆に本を読まないタチで、当時ベストセラー何万部売上、といった本を
毛嫌いしていた自分がどうして読んでみる気になったのかは謎です。だって「一度ページを
開いたらやめられない」だの「あなたはもう途中で止める事は出来ない」だの
いかにも大袈裟で胡散臭いでしょう^^;それが当たっていたのだからあながち広告も
捨てたもんじゃない、ということでしょうか。本書のあまりの面白さに(徹夜で読んだ)
当時既に日本で超訳が出版されていた『真夜中は別の顔』『時間の砂』『明日があるなら』を
買い込んで、友人にゲラゲラと「くくく、思う壷~!」と笑われてしまったもんです。。

そう、実際には本を真面目に読んでいる方(^^;?)には「超訳」そのものが邪道で、
文学性も深みもありゃしない娯楽小説というレッテルは間違ってはいない、と認めますが、
シドニィ・シェルダンを読んでいるのがカッコイイ」時代が確かにあったのですよ^^;;;
ウチでは故・おばあちゃんがシェルダンファン。発売されると必ず先に買って読んでいたため、
祖母が読み終わるのをそわそわと待っていた若き日の自分が思い出されます。読む前に、
「どうやった?どうやった?」と聞くのが常で、「面白かった~!」「今度のはばあちゃんは
好かんわ~」といった乾燥イモをくれるのが二人のパターンでした。
それから成人してもかなりの冊数を読みましたが、やはり本書『ゲームの達人』が一番、と
いう評価は最後まで変わりませんでした。はっきり言えばシェルダンの本はどれも
ワンパターンで、裏切りと復讐と歪んだ愛が絡むスリルとサスペンス。内容そのものは
どれもハードですが、「超訳」のおかげで国内もの並に読みやすく、どちらかと言えば
女性に人気があったのではないでしょうか。

本書はマクレガー家の5代にわたる壮絶な繁栄と衰退の物語。4部構成となっています。
クルーガー・ブレント社の老女社長・ケイト・ブラックウェルの90歳の誕生日パーティから
物語は始まります。彼女は自分とその子孫の壮絶な人生に思いを馳せます。。。
第一部はスコットランドの青年・ジェミーが登場。ダイヤモンド・ラッシュを夢見て南アフリカ
やって来たのが全ての発端です。果てしない夢、裏切り、苦楽を共にした親友、そして
彼は復讐の鬼となる。。
ここでは真の主役であるケイトはまだ登場しませんが、すでに中盤から登場しなくなった
ジェミー青年の輝きはラストまで損なわれず、真の司令塔は彼であるかのような存在感を
放ちます。
内容はここまでとしますが、とにかく長いのにポンポンと進む怒濤の展開は圧巻です。
おそらく自分は本書を読むのは4、5回目だと思うのですが、いい加減先を知っているのに
やはり今読んでも面白い。さすがにちょっとそんな自分が意外でした^^;
正直、「上下巻再読だり~な~」と半分思っていましたが^^;読み始めれば手に汗を握って
楽しんでおりましたからね。


ところで、恥ずかしい過去を思い出しました。
本書が英語の教材となっていることは有名だと思うのですが、おいらシェルダンにハマリすぎて
入会しちゃったんだよね~~~~^^;;;;;;;たしか本書は「上級者コース」の教本^^;
超訳とどれほどの違いがあるか、とかそういう前向きな意志はさらさらなく、挫折してしまい
ました^^;;ま、原書を読んだ人々も変わらない面白さという評価だと聞いておりますから、
かっこつけずに(わたくしのようなおバカは^^;)超訳で面白い面白いと楽しんでいられれば
十分でしょう^^;