すべてが猫になる

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エンド・クレジットに最適な夏  (ねこ2.5匹)

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福田栄一著。東京創元社ミステリ・フロンティア


貧乏学生の晴也のもとに持ち込まれたのは、自分を付け回す不審者を捕まえてほしいという女子大生の
頼み。早速彼女の部屋で不審者が現れるのを待っていると、マンションの前の道からこちらを
見上げている男の姿が。しかし男は不審者ではなく、隣に住む女性の兄だった。妹と連絡が
取れなくて困っている彼の頼みを、晴也は引き受けることになり……。(あらすじ引用)



青春小説、という感じはあまりしなかったですな。
それというのも主人公が若いわりに経験豊富なせいか冷静沈着で淡白な性格だから、やること
なすことが無茶なようでいてどこか打算的、そこが大人っぽすぎて「若さ」を売りにする
小説らしくない。結構色々な事件に巻き込まれて、それなりの修羅場や意外な展開があるわりに
主人公のリアクションがいちいち小さいものだから、可愛げもない。
これ、キャラクターをなんとかすればかなり面白かった気がするのだけど。。
淡白なら淡白なりにどこかヘンな趣味があるとか。。

最初の、サークルの会費で揉めた一件のくだりは主人公の人物像を表現するのに非常に
的確なエピソードを紹介してくれたと思う。でも、その割に、前言を撤回するようだけど
最終的には「そこまでのワル」にも映らなかったんだよね~~~。。
最後に主人公の過去に触れる一幕があるのだけど、自分が今まで読んで来て持った主人公への
イメージと一致しないと言うか。


別にどこがどう悪い、とかではないのだけど、特筆すべき美点も自分は見出せなかった。
むむむ。