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新本格もどき  (ねこ3.7匹)

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霧舎巧著。光文社ノベルス。


記憶喪失の吉田さんはミステリマニアの店主が作るカレーを食べるたびに、新本格ファンなら思わず
ニヤリのあの探偵、この探偵になりきってしまう。が、その推理は……。オリジナル作者公認、
華麗なる「推理&もどき」の世界。(裏表紙引用)



綾辻行人ファンを筆頭に、新本格ファン垂涎の短編集。目次を見ただけで元が何かわかる読者が明らかに
対象であり、例えば完全に島田荘司で時代が止まっているうちのおかんが読んでもさっぱり楽しみ方が
わかるまい。次々と決め台詞を伴っておいらの大好きな探偵に変身する主人公には読みながら
ニヤニヤ笑いが止まらない、最高の贈り物だった。
惜しむらくは、買う時期が遅すぎたため届いた本には「もどかれた作家の直筆コメント」が載っている
という貴重な”帯”が付いていなかったことだ。。。。ショックすぎて涙も出ません。


『三、四、五角館の殺人』
これは、元ネタの探偵が個人的に……だった分、出て来る新人作家三人のモデルが誰かすぐ
分かった事が嬉しかった^^;メフィスト賞作家でありがとう。こんなネタまで理解出来る自分を
褒めたい。。そして、トリックが非常に奇抜で面白かったので、短編にはあまり期待してなかった
自分を責めたくもなった。


『ニ、三の悲劇』
「わざと苦悩しようとしている」に大爆笑!ひー!く、くるしい。。。
なんだか、元ネタの探偵まで好きになってしまいそう。作家さんでも同じネタで仲間内で
笑い合っていたのか^^;;読者の特権かと思っていたよ^^;;


『人形は密室で推理する』
連続で苦手な作家さんの元ネタが続くので辛いかな、と思ったけれど、口調や名前だけでなく
恋愛を交えるというシチュエーションまでもどいているのに感心。


『長い、白い家の殺人』
うわー!楽屋見取り図が『長い~』を彷彿とさせるねえ。。
なかなかトリックは面白かったのだけど、(本家より好きかも^^;)期待していた
肝心の「あの不良探偵」の個性がちょっと中盤から乏しくなって来たかなあ。。


『雨降り山荘の殺人』
出たーーー!!v(^^)v
タイトルを見て、「あれ?これだと、あのちっさいおっさん出て来ないんじゃ。。」と
と思っていたのが余計な心配でした。わーい。出たよー。しかも似てるよー。


『13人目の看護師』
元ネタも分かるし、実は持っていたりする。しかし、唯一元ネタを読んでいない作品。。
すいません、そのせいかどうかさっぱり内容が理解出来ませんでした。。やっぱりちょっと
独特なのね。オチには笑ったけども。
本家、読んだ方がいいかなあ。。


『双頭の小悪魔』
この顔ぶれの中で、唯一、「あの人かあの人かどっちが出て来るかわからない」作家さん。
そっちか~~~^^;;蘊蓄語る語る^^;;
しかし、探偵の過去までもどくとは!!さすが霧舎さん、芸が細かい!
そして、ラストの謎かけ、おいらわからないんですけど。。。どなたかこっそり教えて。。



残念だったのは、結局最後まで「吉田さん」の正体がわからないままだった事。
折角時系列順に執筆して、連作という体裁を取ったのだから、「うまい!」感じに
生かして欲しかったよ。『傑作短編集』での力量を知っているだけに、ここまでが
順調だっただけに、惜しいなあ。

そして、おいらの一番好きな作家さんをもどいてくれなかったので泣きそう^^;;
いや、彼は世代的にはこの面々よりも若かったっけ??だから?それとも無理があった?
もしかして、断られた?
ここに、森さんや「ウヒョ」の人や巻き髪の人が(一つくらい女性探偵が入ってても
良かったと思うの。。)入ってたらもっともっとゆきあや好みだったのにな。。

第二弾を待て?