すべてが猫になる

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アルファベット・パズラーズ  (ねこ3.8匹)

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大山誠一郎著。東京創元社ミステリ・フロンティア


東京、三鷹市井の頭公園の近くに<AHM>という四階建てのマンションがある。その最上階に
住むオーナー・峰原卓の部屋に集まるのは、警視庁捜査一課の刑事・後藤慎司、翻訳家・奈良井明世、
精神科医・竹野理絵の三人。彼らは紅茶を楽しみながら、慎司が関わった事件の真相を解明すべく
推理を競う。毒殺されるという妄想に駆られていた婦人を巡る殺人事件、指紋照合システムに
守られた部屋の中で発見された死体、そして三転四転する悪魔的な誘拐爆殺事件ーー精緻なロジックと
鋭利なプロット、そして意外な幕切れ。本格ミステリ界期待の俊英が満を持して放つパズラーの
精華!(あらすじ引用)




ひゃっほーぃv(^^)v
これは良かった!久々に本格ミステリではヒットじゃなかろうか。

一編目の『Pの妄想』からして、久々に真相とトリック、そして真犯人の正体にびっくり。
バカミスでもない、アンフェアでもない、ロジックのみで勝負する本格推理でこれだけの
切れ味を見せてくれる作家さんはもう珍しくなったと思うので、感激です。

二編目の『Fの告発』も良かったのよ!
このトリックは斬新ではないのかもしれないけれど、全然思いつかなかった。。。
そうか、この手があったか!というシンプルさと犯行の大胆さ、それでいて緻密な犯人の
計画性。お見事でした^^。


そしてそして、その大変良かった二編の記憶が吹っ飛ぶ程のサプライズを見せてくれたのが
ラストの中篇、『Yの誘拐』。七歳の子供を誘拐し爆殺するという残酷な事件。
これまでとは少し雰囲気が変わり、本格推理というよりはハラハラもののサスペンス、といった
趣きで飽きさせない。
と、思わせて中盤から二転三転する推理のどんでん返しには参った。
回数にびっくりしたんじゃないよ^^;。
どの解答でもしっくり来ると思わせて、きっちりと間違ったものの「穴」を指摘する
完璧さも気に入ったし、何よりも最後の最後、本当にこう来るとは思ってなかった。
これまた斬新な発想ではないのだけど、伏線をきっちりと全編に張っていて
丁寧に、無駄なくすっきりとまとめられているのが成功した要因ではないかと思う。

人物描写には全く注目しておらず、むしろ「大学生の集まりみたいだな。。」とさえ思っていた
私が、ラストでほんの少し涙ぐんでしまった。。この真相には悲しさが漂う。
ラストで語られる真犯人への気持ちは、そのまま私の気持ちだったよ。



と、言うことで。
いい作家見つけた~他にもないかな~、と探してみたら。。。
こ、このひと、例の「仮面なんとか」の作家さんじゃないかーーーーー^^;;;
やめた方が良かったりして^^;