すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

ぐるぐる猿と歌う鳥  (ねこ4.3匹)

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加納朋子著。講談社ミステリーランド


五年生に進級する春、森(シン)は父親の転勤で東京から北九州へ転校することになった。わんぱくで
怪我は絶えないし、物は壊すし、友だちは泣かせるしで、いじめっ子の乱暴者というレッテルを
はられていた森の転校を聞いても、先生どころかクラスメイトのほとんど誰も残念がってはくれな
かった。そんな森だったが、引っ越し先の社宅の子どもたちーーココちゃん、あや、竹本兄弟、
パックとは不思議に気があった。彼らは森をまるごと受け入れてくれた。しかし森は次第に感じていた。
この社宅には何か秘密がある。もしくは謎が……。(あらすじ引用)



うおーv(T_T)vうおおーv(T_T)v。

今回のミステリーランドは極めつけ、冒険と友情と優しさと謎のたっぷり詰まった最高作だったぞな!
毒もちょっぴり。厳しさもスプーン少々。

キャラ最高。美少女なのにそれを台無しにする訛りのあやちゃん、ジャガイモ竹本五兄弟^^;、
シンの隣人でおとなしいココ。そして謎の少年、パック。後で登場するしっかり者の勝君。
ジャイアン役の土田少年までも揃っていて役どころをそれぞれ押さえています。
基本は、転校生のシンの成長物語だと思いますが、事件や物語を支えるキーパーソンである
パックの存在が魅力的。最初のベランダのエピソードも含めて、ファンタジー要素が強い
作品かと思って読んでいたのですが。。結構身に詰まされるものがありました。

虐待死などの現実での哀しい事件では「近所や学校の無関心」が問題化されています。
これはもしかして加納さんのメッセージなのでしょうか。
仲間というものの大切さを、思い切った手段で伝えて来ました。


一つ、勝手ながら感じたのは、パックと勝の存在をなぜ分離させてしまったのかなあ、と
いう事でした。これだけしかないページ数ですから、それぞれを深く掘り下げにくいのでは
と思いました。もしかして、主人公はあくまでシンですから、あえて計算されたのかと
考えられなくもないです。
シンは頑張った。目が離せない腕白坊主だけど、カッコ良くなった。
佐藤君とまた会えるといいね。



作風としては、倉知さん、太田さん、はやみねさんに近いかな。
私はこれが今までのベスト1にのし上がって来たかも^^。お薦めでございます。