すべてが猫になる

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一週間のしごと  (ねこ3.7匹)

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永嶋恵美著。東京創元社ミステリ・フロンティア


幼馴染みの菜加には拾い癖があった。犬や猫、果てはアルマジロなど、処理に困るものばかり拾って
くるのだ。いつも後始末は恭平の役目。恭平はいつも、「猪突猛進」という言葉を地でゆくかのような
菜加の言動に振り回されてばかりいる。そんな菜加がまたしても拾ってきたのはーーー人間の子供。
渋谷の雑踏で置き去りにされたのを見て連れてきたのだというが、この行為がのちに恭平の友人・
忍や菜加の弟・克己を巻き込んだ上、あんな結末を迎えるなどとは、このときの恭平には予想すら
できなかった!(あらすじ引用)



はいはい、さくさく行きますよミステリ・フロンティア
先日読んだ桜庭さんの『少女には向かない職業』と同時期に発売された作品ということで。
だからって何も関連してはいないのですが。。自分としてはこっちの人はノーマークだったし。


これは、普通だ。子供を拾って来る、っていう設定も漫画とかでありがちな感じも受けるし、
キャラクター的にもこれと言った「新時代的な」特筆すべき点は見当たらない。
文章も平坦で読みやすいだけ。コミカルと言うほどリズムもない。かと言って悪い点もない。
事件の経過ものんびりとしていてつまらない。
これと言ったピンチらしいピンチもない。
ぐわ。これは挫折はしないけどおいら向きじゃないねえ。
と思いながら、こつこつ「とにかく終われ」という気持ちだけで読み進めていた。

が。


後半から、俄然面白くなって来た。。。。
前半が嘘のようだ。事件が加速的に意外性と猟奇性を持ち始め、キャラクターが生き生きと
動き始めた。辛い過去の暴露や、表面的な能天気さからは想像もつかない内面の繊細さが
事件と上手な絡みを見せる。
事件の種類や犯人の冷酷さはまったく好みではないので、気分の悪さも一緒に付いて来たが。。
最初の淡白さが尾を引いて、必要以上に受け入れにくかった気がする。
タロウとの別れも盛り上がりを期待していたのに、残念。


面白かったんだけどな。もったいないな。
この作家さんがスロースターターなのだとしたら、ちょっと損してるかも。