すべてが猫になる

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NHKにようこそ!  (ねこ3.8匹)

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滝本竜彦著。角川文庫。


佐藤達広は、大学を中退したまま就職もしない究極のひきこもりだった。しかし、彼はある日突然
気付く。自分がひきこもっているのは全て、悪の組織NHKの仕業なのだということを。俺は
悪の組織と闘わなければならない。。そんな彼の元に、宗教勧誘と共に現れた可憐な少女・岬。
彼女は彼がひきこもりである事を見抜き、「あなたは私のプロジェクトに大抜擢されました」と
脱・ひきこもりへの講義に勧誘する。



↑ったく、何を書かせるねん(ーー;)。。。


と、言う事で。先日himaさんがアップされた滝本氏著「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」の
記事を拝見していたら無性にまた滝本さんが読みたくなったというわけ。


ひまさん、ひまさん。こっちの本はちとヤバいですよ^^;;。。
読者をめちゃくちゃ選びますよ。。。
なんといっても、主人公が世界トップレベルの(自称)ひきこもり青年、対するヒロイン役の
少女も輪をかけてかなり頭の中が残念な感じの^^;;プラス、エロ(ロリ)とドラッグ(合法)
ですから。。

しかし、ヘンな怪人が登場して掴みにくかった前作と比べると、冒頭からの面白さ、軽妙さ、
わかりやすさ、は格段にこちらの方が上。西尾維新のファンなら物足りない、乙一のファンなら
及びもつかない、まだまだ安全圏の愉快さとハチャメチャさです。
中盤ははっきり言ってだるくなって来るんですが。。
だって、色々な事に手を出すわりにそれら全て全然建設的じゃないんだもの。
それでも、「周りの奴が全てバカに見える」「俺はいつか凄い事をやる」と言った
典型的なひきこもりキャラではない分、更生の余地ありと見た。
親に仕送りをもらっている事を普通に感謝しているし、騒音をたてる隣人に「うるさい」、
宗教勧誘には「結構です」という言葉が自然に出て来るあたり、
他者とコミュニケーションを取るのが困難な人間像には映りません。

コミカルで若向けの小説なので、そんな真面目に考えて読まなくてもいいかもしれませんが、
真面目に考えていた分この作者が書きたかった事の面白さが際立ちます。
救済でもなく、破滅でもなく、自分が通って来た微妙さ加減。うまく出来てるよね。