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ソ連に幽霊は存在しない/There are No Ghosts in the Soviet Union (ねこ3.7匹)

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レジナルド・ヒル著。早川書房


突然後ろから男に突き飛ばされ、エレベーターの床を通り抜け、悲鳴をあげながら落ちて行った。
目撃者は揃って同じ供述をする。現場に駆けつけたチスレンコ捜査官は頭を抱えてしまった。
死体も、突き飛ばした男も発見出来ないのだ。党の大物委員長から要求されたのは、
ソ連に幽霊はいないことを証明し、この騒ぎが悪意に満ちた西側定刻主義諸国の陰謀であることを
暴き出す」事だったーー。(『ソ連に幽霊は存在しない』)
表題作ほか、鬼才が贈る6編収録の傑作短編集。




こ・これが噂のレジナルド・ヒルか……!
という事で、なにが噂の、だかわかっていないゆきあやが頑張って感想を書きます。
先日いちプロさんにお薦めいただいたカーター・ブラウンを探しにポケミスコーナーをうろついて
いたらあら不思議、一冊もない。がーん!しかし心はすっかりポケミス気分。どうしましょう。
ということで、適当に目に付いたものを3冊ばかり借りて来ました。そのうちの1冊がこれ。
名前知ってるなー、というのと、タイトルとあらすじで決めてみた。ロシアじゃないのが
妙においらのおちゃめ心をくすぐり。


この表題作、おいらにはちょっと難しかった~~(T_T)
設定は面白いし、時折挟まれる「オトナ」な恋愛要素は今までにない感覚を与えてくれたのだけど、
この当時のソ連の国政っていうの?まるで魔女裁判みたく「お上」が犯人でなくスパイを
あげろ、というこの作り物の設定でない当時のリアリティが自分の生きている感覚とはほど遠く、
面白さを感じられるほどの知識も何もない私には付いて行けず^^;;
それより何より、肝心の「消えた男」の謎、が最後までわからなかったんですけど^^;;;;
すいません、本当にこれ一体なんだったのかわかってないまま終わっちゃったよ~~。。

2編目も3編目もよくわからなかったよ~~^^;;;

『かわいそうなエマ』は、オースティンの『エマ』を読んでいない自分には絶対面白さが
わからないんだろうし^^;;;以前借りようかと思った事があるのだけど、あまりの
分厚さと字の小ささに恐れをなして「ハハハハ^^;」と棚に戻しちゃったし^^;;



というわけで、それでもゆきあやの心をくすぐった作品が二つありました。
ダルジール警視シリーズというのがあるらしいのですが、それ?の出て来るちょっと変わった
作品。レジナルド・ヒルが登場するという^^;;登場人物が「165ページでお前は
こう言った、ああ言った」とかわけのわからない発言をしたり、(メ、メタ!?)凄く
ユーモアのある皮肉もある作品でした。
最後の『混みいった時間』も面白かったです。主婦が自宅で強盗?に遭うお話なんですが、
その恐怖と男女間の心理の妙と物語としての意外性にどっきりします。


わからなかった作品については語れませんが、なんとなーく、この作品集を最初に読んだのは
失敗だったような^^;;この作家さんのシリーズキャラクターが二人登場するのですよね。
このキャラを知らないで読むと面白さ半減、というかこっちとしては物足りない気持ちになり。
特に、シックススミスという探偵さんが凄く気になりますよー。
キャラが立っているというのか、心理描写が巧いというのか、人間に惹き付けられる、
そういう作風の作家さんのような。
なにか長編読んでみようかなあ。。