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赤い夢の迷宮 (ねこ4.2匹)

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勇嶺薫はやみねかおる)著。講談社ノベルス

小学生だったあの頃、仲良し7人組のぼくらは「世の中には、やっていいことと、やっておもしろい
ことがある」と語る不思議な男・OGに心惹かれていた。だが「お化け屋敷」と呼ばれる彼の館で
起きたある事件をきっかけに彼とは疎遠に。それから25年、大人になったぼくらは突如OGに
招かれ、再びあの館へ。しかし、そこで待ち受けていたのは悪夢のような殺人事件だった。
(裏表紙引用)


今月の講談社ノベルスの新刊に、ジュブナイルミステリのカリスマ・はやみねかおるさんの
「大人ミステリ」が登場しました!!みなさんもちろん「六とん3」と一緒に買いましたね?ね?
最近ブログでしか新刊情報を得ていない為か、この作品の出版を全然知らなかった。
1冊だけぽつん、と縦置きされていたトホミスの横に燦然と輝く平積み本のこの風格。
勇嶺薫」の文字が馴染みある「はやみねかおる」と一致するまでに数秒を要した。
(↑ふりがなふってたおかげね^^;)
毎回、「本命本」(今回はトホミス)の「ついでに」数冊適当に購入するのだが、
本書を手に取って存在を認めた瞬間、既に私の中ではこれが本命のそれと変わっていた。


前置きが長いが、これぐらいワクワクしてしまったというこの気持ちを残しておこう。。

「大人ミステリ」と言っても、「はやみねさん」の特徴が顕著に出ていると感じた。
小学校教師が登場し、元教職である氏そのものの生身で体験した子供達の姿や教師の在り方の
表現はやはり現場の人間のものなんだなと思う。
実際に、幼馴染みというものはたいてい「想像通り」の人生を歩んでいるものだ。
(ほぼいい意味です。活躍のフィールドなどのおはなしね。)
現実ではここまで本書のように言っちゃ悪いが「ネタになる」ような大人になる事はない。
このそれぞれの「幼馴染み」達のエピソードに魅力があり、
フィクションとして最高の味付けがなされている。

ところでいつも男前に「斬る所は斬る」わたくし。(そんなええもんやないか^^;)
大人ミステリとして考えると、多少のユルさを感じた点もあったのだが、すいません、
言いたくない書きたくない。くろけんではないが、美点しか見ない。
ミステリとしての意外性はもちろんあります。
しかし本書の魅力は、物語としての意外性にあり。手に汗握るは言い過ぎかもしれないが、
「一体どうなってしまうのか」の方向にこれほど惹き付けられる作品は久しぶりだった。

たとえ「毒」「重さ」があっても、勇嶺さんの作品からはミステリに対する愛情ばかりを感じる。
(ちなみに上↑の「毒」「重さ」を「あほ」「トホホ」、作家名を蘇部氏に変えても良い。)



あまり内容には触れないでおこう。
迷っている方、買って下さい。もう買ったよという方、早く読んで記事読ませて下さい。