すべてが猫になる

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(再)平面いぬ。 (ねこ4.8匹)

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乙一著。集英社文庫

わたくしことゆきあやが僭越ながら「乙一の最高傑作」と豪語する、4編収録の短編集。
先日よもさんに念願の本書推薦、それは★6つもの反響をもって迎えられた。ぱちぱちぱーち。
加えて冴姉貴から『「平面いぬ。」を読み始めました』という裏情報が入り、
それならば騒いだ当のおいらが今本書を語れるようになっていなくては話にならぬ。


……と、語るつもりだったが、
総評から言うと「初読時に受けたあの輝きは一体どこに?」と思った瞬間の方が多かった。
主に『はじめ』『平面いぬ。』でそう感じたのだからそれほどのズレは感じなくても良いかも
しれないが、才能を放出する瞬間は永遠でなくとも、煌めきを閉じ込めたその作品にまで
読者である自分がそれを感じなくとも良いのに。
「自分がこの素晴らしさを分かっていればそれでいい」「好きな人にだけ教えてあげよう」
ぐらいのふてぶてしさで乙一作品を愛して来たつもりだが、今回再読してむしろ
「これから良い作品に触れようとする若者や、すべての本好きのあなたに」という
気持ちが新しく湧いて来た。
この作品集は決してマニアックな読者にしか受け入れられない世界ではない。
(唯一「おっかしな話だなあ」と思ったのは『はじめ』だが。)
でも乙一ブランドだからね。その個性に万人から認められる柔軟性を求めるのは
難しいんじゃないか。

でも、『BLUE』が好きだ。
ぬいぐるみだからジュブナイルってんでもないが、別に人形視点でなくとも
同じ展開、同じテーマを持って読者を感動させる事はこの作家なら容易だったろう。
かえって母親の立場であるケリーの疑問点が浮き彫りとなり、同じ母である
冴姉貴の視点では当然のようにひっかかりが生じたようだ。(詳細は姉貴の記事にて)
乙氏がその問題を擬人化によって回避したわけではなかろうが。
これは宿題という事で>姉貴。



余談中の余談。
今の自分なら、『GOTH』の方があの衝撃は色褪せていないかもしれない。。