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ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ! (ねこ3.4匹)

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深水黎一郎著。講談社ノベルス。第36回メフィスト賞受賞作。

新聞に連載小説を発表している私のもとに一通の手紙が届く。その手紙には、ミステリー界最後の
不可能トリックを用いた<意外な犯人>モノの小説案を高値で買ってくれと書かれていた。差出人が
「命と引き換えにしても惜しくない」と切実に訴える、究極のトリックとは?(裏表紙引用)


見切ったはずのメフィスト賞。いや、面白そうなジャンルなら買うんだよおいら。
前も「浦賀のついでに」例のイケメン本買ってたしね自分。

果たして998円の値打ちがあるかどうかはわからないが、「笑ってやれ」という嘗めた気持ちで
読み始めた割にはなかなか充実感が残っている。少なくとも、島田荘司氏の推薦文には
嘘はない。そりゃナンバーワンだよ。「読者が犯人」という不可能トリックを初めて実現させた
とか言われても、うん、これはたしかに私が犯人だ^^;認めてしまうよ。
ミステリ史には残らないけどね。(言っておきますが「埋もれる」という意味ではないので。)

文章的にははっきり言って堅くて苦手だし、ESP実験の章もはっきり言ってだるい。
物語的な興味はかなり薄い。でも、最後笑う予定が重く悲しい気持ちになっちゃったもんで
一応小説としては合格点。


でも、ひとつだけ。読者犯人云々が成功したとは言っても、結局この手法って
定番の○○トリックの範疇じゃなかろうか……?