すべてが猫になる

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さよならの空 (ねこ3.7匹)

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朱川湊人著。角川書店

オゾンホール拡大を食い止める為に開発されたウェアジゾン。その副作用はあまりにも甚大だった。
全世界から「夕焼け」がなくなるというのだ。開発者であるアメリカ人科学者のテレサ
どうしても思い残した事のために日本へ。そこで出会った謎の青年キャラメル・ボーイと、
夕焼けにトラウマを抱いた少年トモル。奇妙な三人組の行き着く先はーー。



本書はミステリでもホラーでもありません(ちょっとSFかも)。だからかもしれませんが、
最初はともかく中盤の展開からちょっと違和感が^^;まさかこんな展開になるとは、、とは
褒め言葉でも使いますが、これはああ、こっちに行っちゃったかぁ。。という残念な方向でした。

しかし、この作家さんはいつも最後に綺麗なものを見せてくれます。それは風景であったり、
人と人との温かさであったり、誰かの言葉であったり。
テレサが探していた題名のわからない日本の歌。それに出会えたあのシーンでは
また真っ正面から人の心を掴みに来たなぁ、自分がこの人に惹かれるのはこういう所だったな、
とやけにじんわりとそのページを何度も何度も読み返してしまうのでした。

辛口の人向きではないと思いますが、朱川さんがお好きな方ならお薦め。
最近お疲れのあなたも本書で美しいもの、綺麗なものに触れてみましょう。