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刺青白書 (ねこ3.7匹)

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樋口有介著。創元推理文庫

女子大生・三浦鈴女は、中学時代の同級生が相ついで殺害されたことに衝撃を受ける。彼女たちは
二人とも、右肩に刺青痕があった。刺青同様に二人が消したかった過去とは何か。第一の、アイドル
殺害事件のレポートを依頼された柚木草平は、鈴女たちの中学時代に事件の発端があるとみて
関連性を調べ始めたーー。「柚木草平シリーズ」番外編?創元推理文庫では第4弾。。。


女心を微妙にくすぐり、切ない人間模様とすっきりとした文章が魅力的なこのシリーズ。
最近の私のお気に入りである。柚木草平自身には「惚れる」までは行っていないのだが
彼の「哀愁の背中」と事件を通して知り合う女性達には内心惹かれるものがある。
元々樋口さんは冴姉貴のご教示により知ったせいもあり、読後はいつも姉貴の記事を
いそいそと拝見するのが恒例。ところで自分はたいてい本を読んでいて気になった所や
気に入った箇所があるページ数をメモにする習慣があるのだが、なんと今回、自分が
抜き出したフレーズが姉貴と完全に一致していたのでびびった。もちろん事前に1度拝見しているが
そんな細かい所までまさか覚えていなかったし。

ちょっとその点は今置いておく。後で繋がります。。
今回、柚木の一人称でない点は姉貴の記事にあるので割愛するが、自分はこっちの方がいいと
思った。どこかで書いた記憶があるが、自分はイケメンの「心の内」「下心」「本心」までは
書かれてしまうと興味が薄れる方だ。少なくとも、加賀刑事シリーズが彼の一人称で語られる
ものだったらば絶対惚れていない。そこが柚木に惚れられない原因だと今でも信じているが、
「自分が良く思いすぎている」人間は現実でもおそらくたくさんいるし、わかっていても
わざわざ知りたくないのが本音。好きな人の考えてる事がわかる機械、とかが売られていても
欲しくないでしょ。「幻滅する」からじゃなく、人と人の関係ってそれじゃ成り立たないから。

なのに!(さあ繋がるぜ)
「仕草に投げやりな憂いがあって、それが女心をくすぐる」とか第三者の視点で説明されずとも、
「眉間に屈託のない皺を浮かべて、煙を短く、ふっと吐き出した」
これで十分こっちには伝わるんだってばよ。。「あぅ、すてき。。」なんだってばよ。

と、言う訳で(そんな事が言いたい為に長々とごくろうさま。。)
結局姉貴と対照的になったか、と思った感想が全く同じ事を指している、という
驚きの発見に。つまりは「愛し方」が違うだけで好みのタイプはいつも一緒ってこと^^