すべてが猫になる

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バーにかかってきた電話 (ねこ3.7匹)

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東直己著。ハヤカワ文庫。

いつものバーで、いつものように酒を呑んでいた「俺」は、見知らぬ女から、電話で奇妙な依頼を
受けた。伝言を届け相手の反応を観察してほしいという。疑問を感じながらも依頼を果たしたのだが、
その帰り道、何者かによって殺されそうになった。そして、ひとり調査を続けた「俺」が知ったのは
依頼人と同じ名前の女が、地上げ放火ですでに殺されていたことだったーー札幌の街ススキノを
酔いどれ探偵が行く、シリーズ第2弾。(裏表紙引用)


うううう、あ~~~ね~~~き~~~ぃ。。
哀しい、哀しいよぅこれ。。T_T。。
『ライト・グッドバイ』と『探偵はバーにいる』である程度このシリーズの傾向を掴んだ気に
なっていたのは大間違い。このシリーズ第2弾でテーマの重さがグンとアップ、そして
謎解きの面白さも右上がり。「キョウコ」の正体と彼女の事情に驚かされたし、今までの
「語り口の面白さ」「『俺』の渋さ」に拍車がかかってもう止まらない。
独身の流れ者である事を自嘲し、命にかかわる事件にかかわってもそれを笑いに変えて
人生を謳歌する「俺」が実はとてもデリケートで傷つきやすい心を持っている事。
そのバリケードは実はとても脆いのに、自ら真実を暴きそれでも人間を愛そうとするその姿。
日々を茶化してばっかりいる「俺」は誰よりも繊細で純粋なものを隠す仮面なんだろうか。

でも結婚とか就職とかしゃらくさいんだろうな、このシト^^;
こういうところがやっぱりハードボイルドの、おいらが思っているまんまの「ロマン」てやつ。
一緒にいたら心臓がいくつあっても足りないので現実ではいらなーい。