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家守 (ねこ3.6匹)

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歌野晶午著。光文社文庫

『家』をモチーフにした5編収録の短編集。

図書館でノベルス見るまでは全く存在を知らなかった本書。ウム、そのうち買うか。
そろそろ買うか。いい加減買おうか。とか本屋で一人芝居しているうちに文庫出ちゃった。
雰囲気はホラー。でも実は怪奇的なミステリ作品集という感じ。

では気に入った順に感想。

『埴生の宿』
 たぶんほとんどの人がコレが1番面白いと思うんじゃないか。。痴呆老人の息子役として
 雇われた青年がだんだんこの家の奇妙な秘密に気付いて、そして、、というお話。歌野さんらしく
 奇妙な展開の作品が多い中、謎解きとそれのバランスがとれていて普通に最後びっくり。
 
『転居先不明』
 実は、『埴生~』以外はそれほど。。な印象だったのよね^^;だから本作は2位だけど
 好きってほどでもない。。振り回されるのは苦手だけど、これぐらいなら「お、おおっ」と
 思えて楽しめなくもない。

『人形師の家で』
 少年探偵団登場。。の前の人形師が狂って行く様が不気味でまずまずの滑り出し。
 場面転換が歌野さんはいつも唐突。いや、いつもならそれが個性になるのだけど、これだと
 普通に添削されそう^^;;短編なのに、今からこんなお話始めて大丈夫なのかな。と。

『家守』
 先が読めるぞ。。トリックの実現性は置いておいても、この雰囲気に助けられている感じ。
 
『鄙』 
 1番ミステリらしいミステリ。トリックは「ほほお」と思ったのだけど。「閉鎖空間の
 集団心理の妙」まで行くにはこれじゃちょっとよくわからない。うまく行けば1番になれた。


安定してない作家さんなのかなー、やっぱり。歌野さんらしさは十分暑苦しいくらい出ているの
だけど、「いかにも歌野さん」程度。身に迫る暗さが上で来るか、アイデアが上で来るか。
これなら自分的に普通で良かったはずなんだけど。