すべてが猫になる

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蜂の巣にキス/Kissing the Beehive (ねこ4.5匹)

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ジョナサン・キャロル著。創元推理文庫

人生最大のスランプに陥っているベストセラー作家のサムは、気分を一新しようと故郷クレインズ
ヴューを訪れる。30年前にサムが死体を発見した美少女・ポーリンの事件を書く事を決意した
彼は、真相を探るうちに数々の出来事に巻き込まれてゆくーー。


9年ぶりの邦訳でファン待望の作品はなんとダークファンタジーではなくミステリー、と
言う事で。キャロルファン初心者のわたくしとしましては、色々読後サイトへ感想など
廻ってみたわけですが。とりあえず、その皆さんがキャロルを偏愛していて、かなりの期待を
本書にかけていたんだなあ、という事はわかりました。「なのに、ミステリーかあ。。」という
残念な気持ち(確かにミステリー、と銘打つには真相にパンチは確かに足りない)と
「おかえり!キャロルは健在だ!」というないまぜになった気持ちが合わさって、なんとも
微妙な評価があちこちで見られました。もちろん絶賛されたものも多かったですが。
自分が共感したのは「これをキャロルの1冊目に読まれると困るな。」のあたりでしょうか。
完成度や、あのダークな異世界から醸し出されるリアリティと結末の衝撃、展開の意外性を
考えるとそりゃ比ぶべくもない気もしますね。

自分はとにかく本書を読んでいる時間が本当に楽しくて、自分にカチッとはまる言葉、台詞を
探しては「くぅ~~~~~っ」とその文章を噛み締める、というその繰り返しで。
今1番自分の感性にばしーばしーとハマる作家です。謎の要素を楽しむよりも、サムのファンである
ヴェロニカの人間性やサムの娘キャスと、その恋人の出現によって移り変わる父子の
心の動き、成長がたまらなくてやっぱりキャロルはオンリーワンだわ、と
また一つキャロルのお気に入りが増えてしまったのでした。

そんなに言い訳?しなくてもよく考えたら。そういえばおいら、ミステリー大好きじゃん。。