すべてが猫になる

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緑陰の雨 灼けた月 (ねこ3.2匹)

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高里椎奈著。講談社文庫。

「灰色の木を金色に戻す薬を下さい」不思議な合言葉を告げるとトラブル相談所に早変わりする
深山木薬店を女子高生エリカが訪れる。寝ている布団が突然泥だらけになる、ぬいぐるみがカッター
ナイフで襲ってくる、自宅で続く怪奇現象に悩む彼女に、秋は四日で解決すると請け合うが?
「薬屋探偵妖綺談・大人気シリーズ第5弾」。(裏表紙引用)


ヤフーお仲間内でのあまりの不人気っぷりに思わず「大人気シリーズ」の「大人気」を太字に
してアピールしたくなるが、そろそろ誰も相手にしてくれなそうな頃なので
卑屈な真似はやめておこう。今回は冴さんもお気に入りの高なんとか刑事(薄情^^;;)が
出て来ないのでさぞやご立腹であろうし。

でもおいらも今回はそれほどお気に入りの1冊というわけでもなかった。もちろん1番の好みは
秋であるが、物語の語り手としてはリベザルであるものが好きなのだ。神の視点であっても
リベザルの目から見た師匠と兄貴、これがたまらなく好きなのだ。だってリベザルは
二人にコンプレックスを持ちつつも大好きな彼らを決して悪し様には表現しないものね。
今回も新キャラが二人登場するが、女性はなあ。。ーー;今回は二つの大きな謎を扱っているので
特別好き嫌いの感情が生まれるほど彼女は濃い扱いでもなかったし。物語展開上、リベザルが
エリカさん側についているので出番が少なかったのも仕方ないか。

ただ、こういうキャラ先行のシリーズものにありがちな「だんだんミステリから遠ざかって
行ってるよー」という危惧は今回も杞憂だったみたい。一応ミステリ仕立てになっている。
完全本格ではないけれど。このシリーズ、結局探偵本人が「妖怪」なもんで
「オカルトが論理的に解決される!!」といったスタイルでもないのである意味
おカタい論争の餌食にもならず安心して読めるっちゃそうなんだけど。

とりあえず、今回の表紙に秋と座木がいないのは不満であった。(というような本であった)