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ゲッベルスの贈り物 (ねこ4.1匹)

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藤岡真著。創元推理文庫

謎のアイドル<ドミノ>を捜して、狂躁の夏に翻弄される羽目に陥ったプロデューサーの「おれ」。
人気俳優や国際的数学者など、著名人を次々手にかけてゆく殺し屋の「わたし」。五里霧中の展開の
果てに「おれ」と「わたし」が出会った時、<ゲッベルスの贈り物>に関する恐るべき真相が
浮かび上がるーー。(裏表紙引用)


うぉぉぉ~~~~う。気に入った~~~T^T~気に入ったぞ~~~ぃ。

ちょっと小金が入った時に「創元ならハズレはなかろう」とカルい気持ちでひょいっとカゴに
入れたというだけの本書。結構著者のお名前あちこちで見るしね。

そんなわけでわくわくとプロローグをぱらり。
「海軍技術大佐・飛良泉英雄。独逸潜水艦U453に乗船してーーー」
「ベルリンは、ソビエト軍に占領されました。ヒトラー総統はーー」

………………………………。
ふ、福井晴敏風!? ←苦手であった^^;

………と、冒頭で嫌な汗をかいたのも束の間、第一章から現代へ。ほ。
おお、文体が軽い。テンポがいい。なんだか人物が渋い。好きなタイプ…………!!
ほら、柚木草平とか東直己の「おれ」とかああいう新生ハードボイルド的な匂い。
目次も「厄介な仕事を押しつけられたおれ」とか「呆然と立ちすくむおれ」とか
なんだかユーモアを感じさせる。
文章だけでも結構満足しながら読み進めると、全く想像範囲から外れた真相と
文体の淡々とした雰囲気とは不似合いなほどの度肝を抜く展開が待っていた。
それだけでもノリノリな自分だというのに、
あああ~~、多分こういう仕掛けだろうな、でも別にいいよ~、と思っている自分の頭を
背後からポカリとやられた感じ。何ぼーっとしてんだよゆきあや。という感じでせうか。

ちょっとかっこいいなこの作家。注目しよう。
ミステリーとしても○ならストーリーも◎。そしてそれ以上にこのスタイリッシュな文章が
どうにもツボに入ってしまった。わぁい。うわぁい。