すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

独白するユニバーサル横メルカトル (ねこ4.3匹)

イメージ 1

平山夢明著。光文社。

今話題沸騰。『生理的嫌悪感を書かせたら日本一』『怪奇実話のスーパースター』、平山氏の
初短編集。第59回日本推理作家協会賞受賞作。2007年『このミステリーがすごい!
第1位作品。


ああ、これ、くだんの『メルキオールの惨劇』と随分イメージが違いますね。
あれは本当に酷い目に遭いましたが、勇気を振り絞ってまた挑戦。いやよいやよも好きのうち、とか
そういう事ではなく、これ本当に私が持っていた平山氏の印象とかなり違う。
もちろん生理的嫌悪感は充分に喚起しますが^^;、それどころではない独特の世界観が
どの作品にも充満しています。とは言っても物語の終着点での解釈がそれなりに自分に生まれたと
言う事は実際嫌悪はしていないのでしょう。読んでて唾が溜まって来るものも確かにありましたが^^;

1話目から3話目までを通して読んで(2話目は実は2度読んだ^^;)、
「あ、天才って言う人がいるの分かって来た」と感じた。落ちている髪の毛の1本1本、爪の先、
「オムレツ」などの言葉の比喩。平山氏というフィルターを通せばどんな日常的なささいな物でも
大きな意味が立ち上がり、それぞれが個性を主張し世界を作り上げる。

最終的に天才とまでは思えなかったのは、後半物語のクオリティは下がってないにも関わらず
ちょっと飽きが来たからかも。結局この人の文章や世界観は得意ではない自分がどこかにいるため、
無意識に自分の限界がやって来たのかもしれない。
だけど本物とは呼ばせてもらおう。
最後には好き嫌いが評価を分けた。それがなければねこ5匹でも違和感はない。