すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

死亡推定時刻 (ねこ2.9匹)

イメージ 1

朔立木著。光文社文庫

山梨県で地元の有力者の一人娘が誘拐される事件が起こった。警察の指示に従った結果、身代金の
受け渡しは失敗。少女は遺体となって発見された!県警は、遺留品に付いていた指紋から、無実の
青年を逮捕。執拗な揺さぶりで自白に追い込んでしまう。有罪は確定してしまうのか?そして
真犯人は?(裏表紙引用)


※ 本書を読むのを楽しみにしている方は以下↓読まれない事をお薦めします。




ふー、や~れやれ、とな。
何度も頓挫を繰り返し、やっと読了しました。
好みじゃない。気分じゃない。自分向きじゃない。本来これじゃ挫折しちまうんですが
読み切ったのには理由がある。文庫化に伴い?先日吉岡なんとか主演にてドラマ化
したらしい。友人のSがこの吉岡なんとかのファンで録画していたのに結末が切れていたらしい。
頼む、読んで結末を教えてくれ、というメールが来た。。。そんな裏事情があるため、
彼女の為にも読み続けなければいけなかった。きっと私は死んだら天国へ行けるだろう。

結末を電話で説明したら彼女はがっかりしていた。色々想像を膨らませ期待していたようだ。
しかし一番がっかりしたのは読んだこの私だからな。。

作家が現役の法律家という事で、なるほど冤罪はこのようにして作られるのか、
裁判までの煩雑な経緯や弁護士の種類、報酬など、その描写にいかにも本物の香りがする。
それだけでも読む価値はあったが、さて物語としてどうか、となるとこれはかなり
首をかしげざるを得ない。ネタは割りたくないので漠然と書くが、
文章力、専門知識共に問題はないものの(たぶん)それだけでは小説家には
なれないんだな、とは言い過ぎだろうか。
なぜこんな結末にしたのか、という疑問についての答えが
世の中は勧善懲悪で成り立たないというどうしようもないリアリティなのだとしたら、
ここにあるのは哀愁じゃなくて絶望だろう。
私が読みたいのは作家の「考え方」じゃないってこと。
まとめると、「モヤモヤ~っとする小説」。