すべてが猫になる

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左手に告げるなかれ (ねこ3匹)

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渡辺容子著。講談社

スーパーの保安員である八木薔子は、元々証券会社に勤めるエリートだった。木島との不倫の果てに
彼の妻から慰謝料を請求され、会社も辞める事になった。月日は流れ、八木の勤め先に刑事が
訪ねて来る。木島の妻が殺害され、「みぎ手」というダイイングメッセージが残されていたというのだ。
動機があり、右手に傷のある薔子を警察は疑っているようだがーー。
第42回江戸川乱歩賞受賞作。


面白いんじゃないですか? ←えらそう
万引きを捕まえる保安員、しかも不倫歴あり、というのが奇抜ですよ。コンビニ経営なども
絡んでいて、一般人にはなかなかわからない業界の裏が覗けたりします。
変な探偵が登場したり、不倫相手との関係が再熱したりと、人物関係もなかなか練ってますし
展開も読者が「飽きる一歩前」で進展があったりしてお見事です。

ははは、しかし、好きかどうかは別ですな。。(出た)
そもそも、不倫をなさる人が主人公ってのがまずい。それならばいっそ思い切りすさんだ性格に
してくれればその分ますます共感度は下がるものの読み物としての面白さは残るんだけど。
社会人として見事に仕事をこなし、生活の乱れもない。そのかわり一番持ってて欲しい
男性からの自立心、それがない。だからふらふらしちゃうのよ。イタい目に遭うのよ。

あとはやっぱりトリックがアウト。ラスト含めてこれじゃ火曜サ○ペンスでしか
通用しない感じ。時代もあるか?10年前なら普通に読めたのかも。
自分、めっきりこういうの読ま(め)なくなってるんだなー、とズレた感慨にふける。。。