すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

配達あかずきん (ねこ4.2匹)

イメージ 1

大崎梢著。東京創元社ミステリ・フロンティア

OL向きの新ビル6階にある中堅書店・成風堂。しっかり者の杏子とカンのするどい多絵、
二人のスーパー書店員が本屋ならではの事件を次々と解決。老人の書いたタイトルも
作者もわからない本の怪奇なメモ、旅行好きの常連さんが「あさきゆめみし」を購入してから
行方不明に、入院中にお薦めの本を教えてくれたのは誰?など、本にまつわる、本屋さんならではの
謎を集めた5編収録の連作短編集。


あちゃ、しまった。これ、買えば良かったよ。
書店ミステリというだけで気になるのに、あちこちでいい評判を聞くのに、ハズレの少ない(らしい)
ミステリ・フロンティアなのに~。(安いのに~)
期待以上なのか期待通りなのか、ええいとにかく1編目からゆきあやの琴線に触れまくり、
恥ずかしげもなくぶわぁっと涙が湧いて来たですよ。。どんだけ単純やねんとお叱りなさるな。
別に自分の知ってる本のタイトルばかり続出して来たからでも、
普段あまりお目にかかれない誠実な書店員さんに感激したからでもないですよー。……たぶん。。
なんだろう、日常的に本を読むのが当たり前すぎてわざわざ確認するのも憚られるのですが
自分は本が好きだと今更思い知って、それからこのブログで知り合った人達が無性に
愛しくなってしまったんですよ、きっと。う~んダイヤモンドの涙。

どれが一番だったかと思うと全部なんですが、やっぱ表題作かな。登場するどんくさいけど
一生懸命なヒロちゃんと、ハーレム床屋の皆さんが気に入ってしまいました。ああ、でも
「六冊目のメッセージ」もいいな。夢物語だけどさ。おいらも惚れるね。

ただ、やはり突き抜けないのは粗が目立ったというのも事実。文章は今後に期待でいいとして、
結末の見せ方と場面転換にもう一工夫あればもっともっと良くなるかな。謎はバラエティに
富んでいて良いし、論理的な無理はないからね。

まあ結論は自分にとってどういう本だったかと言うと、
読後でかい本屋に無性に行きたくなって実際行ってしまった。(思うつぼ)
あああ楽園。。そこは異空間、魔物が棲んでいる。。
戦利品は今月続々発表。