伊坂幸太郎著。実業之日本社。
物事を鳥瞰的に眺める性格の北村、破天荒で演説家の西嶋、美人で無愛想な東堂、超能力者の南……
仙台の大学生である彼らが入学してから卒業するまでのさまざまな葛藤、事件。世間では
「プレジデントマン」こと中年男性を襲う通り魔が跋扈、ボウリング場で出会うホスト野郎達、
彼らは色々な人間と出会い、友人と心を通わせて行く。
こりゃ最後の1行でノックアウトだろ。。。。
もう駄目です、わたくしやられました。伊坂作品で久々のどストライク、胸にずきゅん、
読後に思わずスタンディングオベーションです。
作品中やたら北村がモノローグで連発する「決め台詞」がこんな使われ方をするとは。。
これだよなあ、伊坂さんに私が求めていたものって。
テーマは正直なんでもいい。登場人物の世代も自分と近い必要はない。
砂漠を「社会」に喩えて大学生を「オアシス」に見立てている、そんな体裁ではあっても
私の感覚では人生そのものが大きな砂漠だ。彼らの大学生活は決して安穏とはしていなかったし、
幼稚で浅慮な行動ばかりながらもそれでも本人にとっては荊の道であったろう。
彼らの悩む事それぞれ、社会人の自分に正しい答えを指南できるとも思えない。
「こういう事を考えて悩んでいた時もあった」と遠い目をする人々も。
自分が恐れているのは、考える事をやめること。
まあ登場人物の誰にも共感して読んではいなかったが、(そこは32歳、仕方ない^^;)
西嶋君がいいですね。男性としては魅力を感じませんが、友人としてこういう人が一人いたら
お互いに影響し合えて楽しいのかも。
うーん、これでやっと伊坂作品全制覇したぞぃ。記念にゆきあやの好み順位発表。
『砂漠』は位置的にはこのあたりかー。。。↓
1 チルドレン
2 重力ピエロ
3 ラッシュライフ
4 砂漠
5 オーデュボンの祈り
6 死神の精度
7 終末のフール
8 魔王
9 グラスホッパー
10 アヒルと鴨のコインロッカー
11 陽気なギャングが地球を回す
12 陽気なギャングの日常と襲撃