すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

誰もわたしを倒せない (ねこ3.7匹)

イメージ 1

伯方雪日著。創元推理文庫

ゴミ捨て場に遺棄された覆面レスラーの死体は、後頭部の髪が無惨に切り取られていた。所轄の
刑事三瓶と組む格闘技マニアの新人・城島は、不思議な魅力を持つ青年犬飼の鋭い指摘を受けて
事件を追うが、犯行を告白するメモを残した男が死体で発見される。二人の男の怪死が描く構図が
反転し、驚愕の真相をもたらす「覆面(マスク)」ほか、端正かつ周到な仕掛けを鮮やかに結ぶ、
本格推理連作集。(裏表紙全部引用)


先月文庫化された江戸川乱歩賞受賞作「マッチメイク」が少しだけ気になっていたので、
ネット仲間に「あれってどうなんでしょーかー」と質問したら「こっちの方が面白いよ」と
教えていただいたのが本書。タイムリーな事に、今月の創元推理文庫新刊だった。
やはり日頃の行いだろう。わははv
という事で、なんの予備知識もなく手に取る。
「……あ、いやその、別に『プロレスミステリ』を探してたわけじゃなくてですね。。」と
突っ込むのも忘れない。まあ面白いならいいか。どれどれ、とな。。

連作推理小説、というのに慣れて来た昨今。最初この手法に出会った時は衝撃&感動したが、
いや、実は何度であってもこういう体裁は嫌いではないのだ。短編集と言えば、一編ずつ
毎日読むとか。風呂用とか。時々時間の空いた時に一編読むとか。そういう読み方が
当たり前だったが、連作となればそうは行かない。一気読みが望ましい。収録順に読むのは
基本中の基本。そしてラストでお決まりのどかーんである。いや~、たのし~やわはははv

本書もまさにその通りで期待を外さなかった。
何より、プロレスの知識がゼロでも問題なく読めたのが大きい。さらに、軽快で読みやすい
文章。それよりなにより、こういうトリックよりも物語性に重きを置いた、ラストに
哀愁漂う短編は大好きである。ミステリとしては正直凄みは感じない。
驚愕のラストよりも第三話「ロープ」に感心したぐらいだ。

後は、悔しい事に自分の言いたかった「マスク、プロレス界」の事こもごも、
あとがきに全て書かれているのでそちらをv上手い事書くなあ、プロの方は^^;

この作家の他作品が出ればぜひ読みたいが、気に入った時の常套句、「続編を!」とは
強く思っていない。出来れば違う趣向の短編が読みたいな。