すべてが猫になる

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赤い部屋 (ねこ3.7匹)

あるレストランの階上で開かれる「赤い部屋」の会に今夜集まった七人の会員達。日常の退屈を
少しでも刺激的なものにしよう、と会ではそれぞれの体験した奇怪な出来事や身の上話などに
膝突き合わせて夢中になる。T氏が今夜語り出した彼の「異常な趣味」は身の毛もよだつほどに
恐ろしい凄惨な内容であった。(短編)


本作は好みが分かれそうだ。私は乱歩の作品ではミステリよりも怪奇ものが好きなのもあって、
本作は「超」はつかないけれどもなかなかのお気に入りである。
次々と惜しみなく披露される「断罪されない罪」、ああ短編にこんなに使っちゃってもったいない。
しかし話の肝はラストに凝縮されていて、このオチが生きるにはやはりここまでの雰囲気づくりが
大切。
最後のどんでん返しが評価の分かれ目だと思うが、私はどっちでも良かった^^;。
内容が内容だけに、現代の悲惨な事件を彷彿とさせるものもあり、「こりゃマズいんじゃないか」と
危惧してしまった自分には、やっぱりああいうオチをつけてもらわないと据わりが悪い。
そう思わせるという点では「芋虫」程の「いっちゃってる感」は感じてないんだろう、と
いったところ。


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光文社文庫江戸川乱歩全集』第1巻「屋根裏の散歩者」収録。
創元推理文庫『乱歩傑作選』第2巻「D坂の殺人事件」収録。
春陽文庫江戸川乱歩文庫』第4巻「D坂の殺人事件」収録。
新潮文庫江戸川乱歩傑作選』収録。