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麿の酩酊事件簿 <花に舞> (ねこ4.2匹)

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高田崇史著。講談社文庫。

シリーズ第1弾。4編収録の短編集。
名門・勧修寺家の17代目当主にしてベンチャー企業のオーナー、文磨。31歳・独身貴族の彼は、
理不尽な家訓に適う素敵な花嫁を募集中。しかし彼の前に現れる美女たちは、なぜかトラブルメーカー
ばかり。彼女たちが巻き込まれた事件を、酔うほどに冴える酩酊推理で解決する文磨だが、結婚への
道は遥か遠く!?(裏表紙引用)


気に入りました!!!(笑)
「スラリ・パサリ・サラリ」の千葉千波君シリーズも相当良かったけれど、こちらのシリーズも
負けず劣らずの面白さ!ユーモアミステリに分類していいのかな?
「お酒に酔ったら人格が男前に変貌して切れる推理をお披露目、でも当の本人は覚えちゃいない」
という設定でもう大笑い。さらに、「尊敬も感謝もされるけど必ず最後にはマドンナ達は
文磨から去って行ってしまう、それも明るく」というのが……!!ひー。そんでもって、
文磨を取り巻く主要キャラ達の個性も光り輝いてますよー。
文磨の祖母・まつえ(旧字が出ない^^;)の暴走と時代錯誤な強引ぶりも笑いを誘うし、
執事の大原さんがこれまた博識で、抜け目がなくってすぐに大ファンになってしまった。

いやあ、しかしこれ、ページを開くまで時代ものだと思っていたのですけども。。
まさか現代とは(笑)。。
ミステリーとしても私は十分楽しめたし、パズルがない分千波シリーズより
受け入れやすいかも。謎を残したまま最後の物語が終わっちゃうのも連作ならではで、
既に続編が出版されている分置き去り感もなく好意的に受け止められるのもいい。

こういう優しいほのぼの系のキャラ先行ものは、猫丸先輩のように安心して読める。
凄惨な死体も、心閉じるような悪意もいらない。謎がそこにあれば物足りなくもなんともない。