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アンドロイドは電気羊の夢を見るか?/Do Androids Dream of Electric Sheep? (ねこ4.5匹)

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フィリップ・K・ディック著。ハヤカワ文庫。

第三次大戦後、放射能灰に汚された地球では、生きている動物を所有することが地位の象徴と
なっていた。人工の電気羊しかもっていないリックは、本物の動物を手に入れるため、火星から
逃亡してきた<奴隷>アンドロイド8人の首にかけられた莫大な懸賞金を狙って、決死の
狩りをはじめた!(裏表紙引用)


SF素人のゆきあやが何を血迷ったか書庫まで作りました。みなさま温かい目で見守って下さい^^;
ミーハーで幼稚な感想しか書けませんが愛だけを武器にがんばります。


先日読んだホーガンも最高だったけど、これもまた別の意味で最高だった~~^^。
読みやすさも影響してるのかもしれませんが、雰囲気で言うならこっちの方が好み。
リック夫妻が電気羊を所有している状況から始まるのだけど、
もうのっけからスイッチ入ってしまいました。絶滅していく動物、見栄のために
高価な人工の動物を飼う事によってプライドと社会的地位を守る人間たち。
本物の動物を買うためなら少々無茶な「アンドロイド連続狩り」という仕事をこなすのも
厭わない。
それが単なるユーモアならここまでのめり込まないけれど、そこに深く根付くテーマが
素晴らしい。

自分がこの空想世界に生きるならば、自分が人間だと自信を持って言えるだろうか?
ここまで人間とアンドロイドの区別がつかず、識別するには特殊な機械が必要な世界。
自分を人間と信じ切っているアンドロイドまで登場する。
判定テストをするシーンがよく出て来るが、彼らの回答の数々に、私は疑問をあまり感じなかった。
そこで、「君はアンドロイドだ」という事実を突きつけられるシーンの私の気持ちを
想像いただけるだろうか。
人間とアンドロイドの違いは何だ??
さらには、最終的にアンドロイドというモチーフを使った「差別」という人間としての
根本的なテーマが隠されている小説だという。

SFの名作というのは、こんなに面白かったのか。
小難しい事はさておいても、相当にわくわくできる楽しいストーリーだった。
好みとしては、後半のアクション的展開は意外で戸惑ってしまったけれど
本書を満点だという人がいても(絶対いる)少しも驚かない。