鯨統一郎著。光文社文庫。
9編収録の連作短編集。
東京は渋谷区にある日本酒バー、「森へ抜ける道」では、ちょっと間の抜けた
マスターと、常連である刑事の工藤と友人の山内の「厄年トリオ」が酒の肴に
さまざまな事件の推理と懐かしい音楽や小説の想い出話に連日花を咲かせている。
そこへ、毎週金曜日に現れる女子大生・桜川東子が交じるとすべてのアリバイトリックは
崩れ出してーーー。
お待ちかねの(お願い、待ってたと言って^^;)鯨統一郎ついに「すべ猫」に登場。
最近とんと鯨氏には縁遠く、去年2冊読んだのを最後に全くひさかたぶりの鯨ワールド。
「最初はどれにしようかなあ。。」と悩みに悩み、「邪馬台国~」から出すのも芸がない、と
結局ゆきあやの一番好きな本書になりました。(誰だ、「えーっ」とか言ったのは!)
この時点で危険を察知された方はどうぞ読み飛ばして下さいね^^(にこにこ)
童話のちょっとシモがかった新解釈、いつもしょーもない発言しかしかしない正体不明のマスター、
大和撫子の博識な桜川さん。(この人が一番謎だが)ああ、大好きだ。。
連作ものならではの、最終話のオチも好きだ。。毎回同じ文章で終わるのも好きだ。。
そこに意味があるのも好きだ。。全部アリバイトリックで統一してるのも好きだ。。
そのアリバイトリックが有栖川さんの「アリバイ講釈」から構成してるのも好きだ。。
いつも客がこの3人しかいないのはなぜだ。。
そんなテンションの高いゆきあやが、全編軽く感想を。
『ヘンゼルとグレーテルの秘密』
本作の「よもやま話」はやはり1発目にふさわしくミステリー。「アリバイ講釈」のネタを
ここでしなくちゃね、やっぱり。ここで知りました私。「4月1日生まれの秘密」^^;
しかし、このヘンゼルとグレーテルの解釈はひどい(笑)……と思ったのもつかの間、
まだこれはましな方でした。。
『赤ずきんの秘密』
よもやま話は「映画」。うーん、これは疎いので私わからない~。と言っても、名作の
題名をずいずい挙げてるだけの会話ですが。なんだこれ^^;
赤ずきんちゃんにそんな秘密があったとは!!無理があるけどたしかにこじつけとしては
はまってしまっている。。
『ブレーメンの音楽隊の秘密』
「昭和史を志村けん前と志村けん後に分けてもいい」に大笑い。
このトリック、どっかのマンガで見たなあ。切ない、切ないぞこの事件。
『シンデレラの秘密』
こんな強引なトリックは笑えるだけである^^;
「シンデレラ」の夢を見事に壊してくれたね。。。
『白雪姫の秘密』
この鏡の解釈はとてもいいと思った。事件のトリックがくすんでしまったですよ。
『長靴をはいた猫の秘密』
これは原典をよく知らなかったせいかどうかわかりませんが、この犯人はうっかりさん
すぎるように思われ^^;動機の○ク○、っていうのも現在では誰でも知ってるんじゃないかなと。
『いばら姫の秘密』
これ、「眠りの森の美女」の事だったんですね。大昔、これが大好きで大好きで
すり切れるまで読みましたよ。糸針をさして眠っちゃうシーンとか、占いばあさんの
怖い予言とか、今でも思い出すと怖い。そんな思い入れ深いお話を、よくもまあ
ひどい解釈してくださってます。。とほほ。面白すぎるんですけど!
『狼と七匹の子ヤギの秘密』
このトリックはありえねえ^^;しかし、原典の新解釈とのこじつけとしては面白い。
でもありえねえ^^;
『小人の靴屋の秘密』
このお話、聞いたことはあるという程度で本は持ってなかったですね。ガリバーなら
うきうきと読んでましたけど。え、違う?
この作品、理屈はともかく、なんだか好き。ほんとか!?(笑)
桜川さん、貴方は最後まで謎のまま。。。
また戻って来てね。