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死体を買う男 (ねこ3.3匹)

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講談社文庫。

乱歩の未発表作品が発見された!?『白骨鬼』というタイトルで雑誌に掲載されるや
大反響を呼ぶーー南紀・白浜で女装の学生が首吊り自殺を遂げる。男は、毎夜月を見て
泣いていたという。乱歩と詩人萩原朔太郎が事件の謎に挑む本格推理。実は、この作品には
二重三重のカラクリが隠されていた。(裏表紙引用、最近手抜きばっか^^;すいません時間短縮!)


まったく前情報なしに読むとこりゃびっくりするわいなー。。。
自他共に認める乱歩ずきの私(いつからだ)にはよだれものの内容。しかも、乱歩と交流の
深かった詩人の朔太郎氏登場!この方はかなりのミステリマニアだったのですよね。
作中作、というのも私の好物。この『白骨鬼』は実に面白く読めた。乱歩の文体の模倣という事で、
うんうん、雰囲気ちゃんと出てるじゃないの。文章うまくなってからこれ書いて良かったねえ、
成功したねえ、とちょっと感慨深くなってみたり。。

し、しかし、トリックは結構、、「ふつー」に感じた。。これまで模倣しなくても
良かったんじゃ。。^^;ストーリーと構成、中盤までは楽しめたが、実はもう後半では
だれきって読んでしまい、二転三転するのはいいが「あ、もう私、どっちでもいいです」という
姿勢になっておりました。。

作品全体としての印象は、歌野氏の乱歩の造詣の深さに驚いた、という一点に尽きました。
「本格推理作家」として成功なし得なかった乱歩。この作品で、「乱歩に代わって、
すぐれた本格ミステリを書き上げてみせる」という歌野氏の愛情のようなものがあるとすれば
私もこの作品が大好きになるのだけど。